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賢く忠誠心の強いシュナウザー、獣医師・鈴木先生が伝授するオーナーの心得とは

賢く忠誠心の強いシュナウザー、獣医師・鈴木先生が伝授するオーナーの心得とは

鈴木 快朗
ウッドベル動物病院
250HugQ
      

獣医師の先生に愛犬との暮らしについて聞く「Vet’s Dogs~獣医の犬の飼い方~」。今回は、ウッドベル動物病院の鈴木快朗獣医師を訪問。鈴木先生はグルーミング学校の学院長であるお母様やシュナウザー3匹の飼い主である妹様とご一緒に、長年シュナウザーの飼育に携わってきたそうです。そんな先生が知るシュナウザーの魅力やなりやすい病気などについて、たっぷりと伺ってきました。

プロフィール

鈴木 快朗 先生

獣医師。神戸市獣医師会副会長。動物好きの両親の元、幼い頃から動物に囲まれて育つ。中学時代に母親が「ロイヤルグルーミング学院」を設立したことを機に、獣医師を目指すように。麻布大学獣医学部に進学し、卒業後は大阪府松原市内の動物病院に勤務。地元神戸市に戻り、2000年に「ウッドベル動物病院」を開院した。病院の向かいには神戸ロイヤルグルーミング学院がある。
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目次

オーナーへ強い忠誠心を示すシュナウザー。
適度な距離感から生まれる主従の心地よい関係

まず、なぜ先生は獣医師を目指されたのでしょうか?

両親ともに動物が好きで、小さな頃から犬をはじめとする動物に囲まれて育ちました。中学に上がった頃に母がグルーミングの学校を開いたことで、私も動物に関する知識を身につけたいと考えるようになり、進学の際に獣医学部のある大学を選びました。現在はウッドベル動物病院の院長であり、ロイヤルグルーミング学院の理事長も務めています。

先生とシュナウザーとの出会い、関係性について教えてください。

最初のシュナウザーは、私が学生の頃に実家で飼っていたベル。苗字の“鈴”木からとって「ベル」で、当院の名前と同様ですね。当時はベルを含めて、プードルやポメラニアンなど最大5匹の犬や幼少期の頃から飼育していたウサギやハムスターなどと一緒に暮らしていました。今は妹が3匹のシュナウザーを飼っており、今日、連れてきているこの子は9歳の真央です。うちの子たちはショードッグでもあったので、伝統的なトリミングや立ち姿の訓練など行っていました。現在は引退し、可愛いカットスタイルで過ごしていますね。

友だちになりすぎないことで築くシュナウザーとの信頼関係

一般的にシュナウザーはどのような犬種と言えますか。

シュナウザーは知能が高く、忠誠心が強い子たちが多いですね。飼い主さんを「リーダー」と認識し信頼関係が築けると、とても忠実な態度を示してくれます。その姿はとても愛らしく、飼い主さんとしてのよろこびが強く感じられる犬種ではないでしょうか。フレンドリーですので、番犬にはなりにくいかもしれませんが(笑)。

ただ気をつけてほしいのは、飼い主さんとワンちゃんが“友だち関係”になり過ぎてしまうことです。もしかしたら愛犬との関係性が上手くいっていない方は、主従関係が崩れているのかもしれません。これはシュナウザーに限ったことではありませんが、“友だち関係”が強すぎると主従関係が崩れてしまい、わがままになったり、噛んでしまったり、分離不安が発症したり、問題行動の一因になりえます。

主従関係を築くには、関係性が強くなりすぎないよう適度な距離感が不可欠です。たとえば帰宅した際、迎えに来てくれるワンちゃんがかわいいという気持ちはわかりますが、そこはグッと堪えて、すぐに触りにいかず自然な形で接するようにしたり、ごはんは決まった器からしかもらえないと認識させたり、日々の行動に少しだけ注意して生活してみてください。

尿石症や高脂血症になりやすいシュナウザーには、食生活への気配りが不可欠

シュナウザーを飼ううえで、どのようなことに気をつければよいですか?

シュナウザーは骨格がしっかりしており、小型の室内犬で気をつけるべき骨折などの心配はあまりありません。定期的なトリミングが必要な反面、毛が抜けにくく、体臭も少ない。それらの面においては、飼いやすい犬種と言えます。一方で、体質的には「尿石症」や「高脂血症」になりやすく、実際にこれらの報告が多くあります。

尿石症とは、どのような病気でしょうか。

「尿石症」は別名「尿路結石症」とも呼ばれ、腎臓や尿管などの泌尿器にミネラル成分が結晶化して「結石」ができる病気です。結石ができると血尿や頻尿という症状が現れ、病院でレントゲンや尿検査をするとはっきりとわかります。結石は大きく分けると、マグネシウムタイプの結石(ストルバイト結石)とカルシウムが核となる結石(シュウ酸カルシウム結石)の2種類。原因は、食事の偏りや体質、細菌感染などがありますが、シュナウザーは遺伝的になりやすいということが統計的にわかっています。

昔は人間の残りものをごはんにしたり、ドッグフードにカルシウムや小魚の粉末を混ぜたりしていた方も少なくなく、ミネラルなどの過剰摂取が原因となる結石がよく見られていました。今は飼い主さんの意識も変わってきており、「明らかに食事の質が悪い」という結石は少なくなったように思います。今のドッグフードは必要な栄養バランスが十分に計算された質の高いものが多くなっていますので、ワンちゃんにふさわしいものを適切な分量あげるようにしてあげてください。

また尿結石の予防には十分な水分摂取も大切です。水分を取るよう促してあげたり、あまり水を飲まない子の場合にはウェットタイプのフードをあげたりするなど配慮してあげましょう。

Pointシュナウザーが遺伝的になりやすい病気①「尿石症」

  • 1. 腎臓や尿道などの泌尿器に結石ができてしまう病気
  • 2. 主な種類は、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の2つ
  • 3. 対策は、バランスの取れたフードと十分な水分摂取

気をつけたいもう1つの病気「高脂血症」についても教えてください。

「高脂血症」は、血中の中性脂肪が多い状態で血液がドロドロになってしまう病気です。シュナウザーは代謝に問題があると言われ、こちらも遺伝的になりやすいと言われています。明らかな症状として現れるわけではないので、診断には血液検査が必要です。体質的に高めの数値が出ますが、慌てず定期的なチェックで変化に注意しましょう。

日常的な対策としては、過剰な量のごはんを与えないこと、適正体重を保つことです。肋骨や骨盤などのさわり具合で、適度に脂肪がついているのがベスト。シュナウザーは食欲旺盛な子が多く、ほしがるままにあげると肥満につながります。人の感覚で「ちょっと」のトッピングやおやつも、体重5、6キロの子にとってはかなりの量。これが毎日続くと摂取オーバーで体調を崩すことがあります。おやつをあげるときは、消化や代謝の良いものに配慮してあげてください。基本的にワンちゃんはしっかり噛んで飲み込むことは少なく、特に勢い良く食べることが多いシュナウザーはお腹に負担がかかるジャーキーなどではなく、クッキーやボーロなどがオススメ。

Pointシュナウザーが遺伝的になりやすい病気②「高脂血症」

  • 1. 中性脂肪の数値が高い状態のことで、シュナウザーは遺伝的な要因でなることが多い
  • 2. 日常的な対策は、「過剰な量のごはんを控えること」「適正体重を保つこと」
  • 3. 定期的な対策は、血液検査で数値に注意すること

気になっている飼い主さんも多い「髭やけ」
対策は、小まめなケアとケアしやすいカットで

シュナウザーの髭やけについて教えてください。

「髭やけ」は、口周りの毛を長く伸ばしているワンちゃんに多く、周辺の毛が赤茶色に変色している状態を言います。原因は口周りの「よだれ」や「汚れ」。特にシュナウザーの伝統的なトリミングでは口周りの毛を長く伸ばしており、ドッグショーに出るような子は、人間がパーマをあてるときのような紙で髭をラッピングし、汚れないようケアしています。

ただ、一般のご家庭でそのような手間をかけるのは大変なため、手軽にケアできるようカットしている子が多いですね。小まめに口周りをふいてあげるケアのほか、汚れ防止にボトルタイプの給水器を使うなど工夫できると良いですね。

ほかに日常的に気をつけることはありますか。

歯のケアにも気をつけてあげてほしいと思いますね。現代のワンちゃんは昔よりも恵まれた環境にあり、本来の寿命を全うできる子が増えています。そこでポイントになるのが、歯のケアです。ケアを怠ると歯周病によって歯や骨が溶けてしまったり、歯周病菌が内臓の病気の原因になったりすることがあるのです。

「歯磨きさせてくれません」という相談はよくありますが、飼い始めた段階から毎日のスキンシップで全身くまなく触ってあげることが大切です。歯磨きが難しければ、人の指にジェルや歯磨き粉をつけて歯をこするやり方や歯磨きシートを指に巻きつけて磨く方法でもOK。毎日、全部の歯を磨けなくても、数本ずつでもきれいにしてあげましょう。噛んでデンタルケアができる縄のおもちゃや、口腔内にシュッとするだけの歯磨きスプレーなどもありますので、その子とオーナーさんに合うやり方を見つけてあげてくださいね。

また、シュナウザーは耳の中まで毛が生える犬種で蒸れやすいため、外耳炎にも注意してあげましょう。トリミングの際に、毛を短く刈ってあげると通気性を保つことができます。骨格がしっかりとしており、なおかつ活発ですので、散歩は1日30分から1時間ほど歩いてあげると良いですよ。

賢く飼いやすいシュナウザーは、飼い主さんの良きパートナー

ありがとうございました。最後にシュナウザーの飼い主さんへメッセージをお願いします。

シュナウザーはとても賢い犬種です。フレンドリーでありながらもリーダーへの忠誠心が強く、オーナー心をくすぐられるのではないでしょうか。好奇心も旺盛でとても活発。飼い主さんと一緒にアウトドアなども楽しめるでしょう。尿石症や高脂血症のリスクはほかの犬種に比べ少し高めですので、栄養バランスの取れたドッグフードと適度な運動などでワンちゃんの健康を守ってあげてください。

ただ、主従関係の構築には少し気配りが必要です。愛情ゆえのなし崩し的な友だち関係は、問題行動を引き起こしかねません。程よい距離感を見極めつつ、大事な家族の一員であるシュナウザーちゃんと楽しく暮らせるよう工夫してみてください。ショードッグであるわが家の子たちは伝統的なトリミングをしていますが、トリミングのスタイルは豊富にあり、好みでいろいろ楽しめるのもシュナウザーの醍醐味です。ぜひお気に入りを見つけてくださいね。

動物たちがウッドベル動物病院に訪れる様子を描いた患者さん(オーナー)の作品(右)ウッドベル動物病院 神戸市中央区下山手通6-4-2

 
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