いつまでも愛犬たちにかわいくいてもらうために、ペットオーナーが知っておきたいスキンケアや注意点はどこにあるのか?愛犬の“かわいいの作り方”を日本獣医皮膚科学会認定医・島田健一郎先生にご解説いただきます。

島田健一郎先生
かわいさには4つの基準がある。


島田先生

愛犬の健康美を想像してみてください。しなやかで俊敏な動き、涙やけのない目、よく眠り元気にごはんを食べる…。ワンちゃんも心地よく過ごせて、それを見守る飼い主さんも安心できて、はじめて「かわいい」と思うことができるのです。気がかりがあっては、愛犬のかわいさを楽しむ余裕がなくなってしまいます!
スキンケアの重要性は人も犬も同じ。


島田先生

スキンケアで大事なのは、皮膚のバリア機能を意識した保湿を重視した生活を送ること。人間のように化粧水をつける習慣のない犬にとって、肌の乾燥は大敵。うるおいを逃さないように、室内を加湿したり、室温を一定に保つ必要があります。犬の目安として「室内の適温は冬は18~22℃、夏は22~26℃」、そして「湿度は40%から60%の間」。人間の場合、適温は25℃から28℃の間と言いますが、犬の場合は涼しめの方が適しています。
犬の皮膚は、なんと人間の約3分の1の薄さ!


島田先生

皮膚と毛の関係性は「体毛があれば良い」というわけではありません。皮膚がダメージを受けてしまうと、毛並みがよくなくなります。なぜなら毛の生える土台が揺らいでしまうからです。皮膚と毛は互助関係にあると言って良いでしょう。ですから、「暑そうだから短めにカットしましょう」と考えてしまいそうな時も、一旦立ち止まって考えてみてください。サマーカットは涼しそうに見えますが、実は「そんなに涼しくない」ということも言われているのです。
しっかり脂汚れを落とすシャンプーを使っていませんか?


島田先生

シャンプーの後もご注意!「自然乾燥」という飼い主さんもいらっしゃいますが、自然乾燥は皮膚によくありません。乾燥し切る前に、毛に覆われた皮膚が蒸れることで、赤くなったり湿疹になったり、皮膚病になってしまうケースもあります。皮膚のためにも、しっかり毛は乾かしてあげましょう!
皮膚科医に、ワンちゃんの肌診断やスキンケアの相談も!


島田先生

女性の方であれば、化粧品コーナーでお肌の水分量計測をした経験があるかもしれません。犬も同じように、お肌状態を「保湿機能計測器」や「バリア機能計測器」を用いてチェックできます。まだ研究段階のため、正常値が間違いないとは言い切れません。しかし、計測を続けて「その子の基準」を作ることで、今の季節はちょっと乾燥しているかもしれないから、こういう対策をしようということが考えられるようになります。
「カワイイ」は、ペットと飼い主さんが共に健康であること。


島田先生

愛するペットのためにできることを一生懸命やることは、とても素晴らしいことです。ですが、ムリに頑張る必要はありません。飼い主さん自身が快適で、乾燥しない環境に過ごせていれば、愛犬も自然と健康でいられます。皮膚科認定医として、「愛犬と飼い主さんが共に健康であること」が理想のかたちだと思っています。

島田健一郎先生からのメッセージ

「愛犬をもっとかわいくしたい」という飼い主の想いに獣医師として応えていきたいと考えています。ご自分で調べるより、もっと有益な情報が獣医師やスタッフから聞けると思いますので、ぜひ動物病院に足を運んで、「こんなこと聞いてもいいのかしら」と思うようなことも気軽に質問してください。
麻布十番犬猫クリニック
皮膚科、内科、外科、鍼・漢方、眼科、歯科、猫専科と幅広い診療科を持つ動物病院。往診体制や、24時間体制の総合動物医療施設である「日本動物医療センター」とも提携するほか、2020年7月7日には日本の「カワイイ」の発信地、原宿で「原宿犬猫クリニック」を開業。
