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【獣医師インタビュー】今、注目の獣医師インフルエンサー、豊田陽一先生の素顔に迫る!

【獣医師インタビュー】今、注目の獣医師インフルエンサー、豊田陽一先生の素顔に迫る!

 
豊田 陽一
サーカス動物病院
350HugQ
      

「動物を救うために臨床獣医師を辞めた」と言う豊田陽一先生は、現在、出張皮膚科診察、細菌検査、動物病院の3事業を展開する株式会社VDTの経営者をされています。経営以外にも、インスタグラムやオンラインセミナーでの情報発信を行うなど、新しい価値の提供にも注力されています。動物病院業界をアップデートし、オーナー、ペット、そして、医療に携わる人びとを笑顔にするために、多方面に渡って活躍する先生の原動力はどこにあるのか?動物病院のインスタグラムフォロワー2.8万人を誇る、豊田先生の素顔に迫ります。

目次

獣医師から経営の道に進んだのは、「動物を笑顔にする人たちが笑顔じゃないと、笑顔の連鎖が止まってしまう」と思ったからです。

まずは、豊田先生のプロフィールについて教えていただけますか。

私は元々引っ込み思案で、自信もないタイプだったのですが、「人の役に立ちたい」「人を笑顔にしたい」という想いだけは持っていました。そこから献血、漫才、獣医療、経営という手段を使って、『人の笑顔』という目的を達成しようとしてきました。漫才というとビックリされますが、大学で渋々出場したお笑い選手権で優勝したこともあってお笑いに目覚めました。今でも、大学からの友人(獣医師)とM-1グランプリに出場しており、ナイスアマチュア賞を頂いたりしました。卒業後は、お笑いの道も良いなと思ったのですが、「動物が好きで、動物を笑顔にしたい」という想いのほうが強かったので、獣医師という道を選びました。

卒業後から2年3ヶ月臨床獣医師として働き、「なんて素晴らしい職業なんだろう」と思っていたのを覚えています。働いて少ししてから、動物病院業界では『全ては動物のため』という号令のもと、多くのスタッフが身を粉にして働いていたこともあり、離職率が高い業界だと知りました。確かに、大学の先輩も同期も、職場の後輩も辞めていき、動物病院業界から去っていきました。私としても、今よりも笑顔が少なかったことを覚えています。 そのような経験を通して、「動物の笑顔はめちゃくちゃ大事。ただ、動物を笑顔にする人が笑顔じゃないと、笑顔の連鎖が止まってしまう」と思い、経営の道に進むことにしました。経営の道を目指したのは、「ビジネスを学ばねばこの課題を解決することができないだろう」と考えたからです。そうして2014年に設立したのが、株式会社VDTです。現在は、出張皮膚科診察、細菌検査、動物病院の3つの事業を展開し、それぞれ「動物を救うのではなく、動物を救い続けるぞ!」「業界の新しい常識を作るぞ!」という思いでやっています。 手を挙げて話している男性

プロフィール

豊田 陽一 先生

東京農工大学農学部獣医学科卒業後、動物病院の臨床獣医師として勤務。その後、株式会社VDTを起業、経営学修士(MBA)を修了。「1人でも多くの人を笑顔にする」ために、動物病院の経営にとどまらず、献血・漫才・獣医師など、ジャンルを問わず精力的に活動。献血回数は85回を超え、M-1グランプリではナイスアマチュア賞を受賞。日本一従業員エンゲージメントが高い動物病院を目指す。
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株式会社VDTの事業には、どんな想いがあるのでしょうか?

最初に始めた事業が出張皮膚科診察事業なのですが、皮膚科って需要と供給がアンバランスなんです。皮膚のことで困っているオーナーは多いにもかかわらず、当時皮膚科が得意な動物病院はまだ少ない印象でした。これは私の考えですが、『皮膚科は緊急性が低い』というのが理由の1つではないでしょうか。私が動物病院で働いていた時も、明日亡くなってしまう子の病気について調べ、学んでいる内に、1ヶ月また1ヶ月と時が過ぎていったのを覚えています。
獣医師は全ての診察科を担当する必要があるので、勉強時間を満足に確保することができず、診察科ごとに得意不得意が出てきてしまうのはしょうがないことです。だったら「皮膚科が得意な人にお願いして、皮膚科の専門日を作れば良いのではないか」と思い、出張皮膚科診察の事業をはじめました。
また、2015年からは「細菌検査」の事業をスタートさせています。2050年問題ってご存知ですか?死因の1位が『がん』から『感染症』に変わると予測されているのですが、これは耐性菌が蔓延してきたのが原因です。効く抗菌薬がドンドン減ってきているわけです。これは獣医療業界でも同じで、ドンドン耐性菌が増えていっています。つまり、同じ病気に罹った場合、罹る時代によって治る確率が違ってくるということです。それはとても哀しいことです。そうならないためにも、抗菌薬の正しい使い方の啓蒙と、質の良い細菌検査を提供するということが重要だと思い、この事業を始めました。
そして、2019年に動物病院事業を始めました。私は動物病院業界を良くしたくて起業したので、12,000軒という雇用を生み出している動物病院業界に対してメッセージを発信する必要があると思ったんです。大きな旗を立てようと思ったので、しっかり経営学を学ぶ必要があると思い、名古屋商科大学大学院に入学し、修士論文「動物病院業界のアップデートの方法」を執筆し、その考えをもとにサーカス動物病院を開業しました。「スタッフの笑顔が、動物と飼主さんの笑顔に繋がり、業績に繋がる。そしてまたスタッフを笑顔にしていく」というサイクルが成り立つことを証明したいと思います。そのために、従業員が充実して働けているかを測定しながら、組織運営しています。

正しい情報を伝える「発信力」があれば、飼い主さんの“常識をアップデート”できる。

そうした事業とは別にインスタグラムをはじめられた理由は何だったのでしょうか?

理由は2つあります。1つ目は、シンプルに「皮膚病で困っている動物と飼い主さんの役に立ちたい」と思ったこと。2つ目は、皮膚科の事業として「将来的に発信力が武器になる」と考えたことです。何かやるにしても知ってもらえなければ、ただの自己満足になってしまう可能性があるので。今でこそ重要な仕事としてチームで取り組んでいますが、当時はどんなメリットがあるか分かってないので、全ての仕事が終わってから1人黙々とインスタグラムに投稿していました。日の目をみるまでは1年くらい根性でやり切りましたね。ハネムーンのときも作成していて、妻に「まだやってんの?笑」と言われながらも、「必ず役立つ!」と、根拠のない自信をもとにやっていました。

どうぶつ皮膚科、耳科、歯科のInstagramインスタグラム公式アカウント(左:どうぶつの皮膚科・耳科/右:どうぶつの歯科)

そこまでモチベーションを保てた理由はどこにあるのでしょうか?

デマが流れたときに、何も対応できないって嫌だなと思ったからです。
例えば、「動物の皮膚病は唾をつけていれば治る」というどっかの誰かのインタビューをどっかのメディアが面白半分で報道したとしたら、どう思いますか?そんなインタビュー受けた人も嫌ですし、そのメディアも嫌。でも、一番はそれに対して反論する術をもっていない自分が嫌になると思いました。
SNS時代となり、個人がメディアになれるようになったことで、正しい情報も正しくない情報も溢れかえると思いました。正しくない情報を目にしたときに、「あのメッセージは違います」と発信できるメディアを持っていないことを棚に上げて、不満だけ言う人になりたくなかったんです。
そうじゃないと騙される人が増えちゃうじゃないですか。10年間愛犬のアトピー性皮膚炎で悩んでいる飼い主さんが『アトピーが治るサプリメントだよ!』という広告を見たら、藁にもすがる思いで買ってしまうかもしれない。そのとき「あのサプリはダメだ!」と言うだけではなく、正しい治し方を伝えるための行動をしなければ社会は変わりせん。私は「嫌なことがあるなら、自分で実行しよう」というタイプなので、発信力をつけなければという焦りもあったかもしれませんね。

飼い主さんのリアルな声が届くインスタグラムは、「うちの子も治るかもしれない」という“希望”を与えられるツールだと感じています。

インスタグラムには皮膚科・耳科と歯科の2つのアカウントがあります。テーマや使い分けなどはあるのでしょうか。

そこは意識していません。これは運用の話ですが、インスタグラムはファミレス型よりも特化型の方がうまくいくと思っています。インスタグラムにおいては「何でもありますよ」は何にもないのと一緒。なので、皮膚科・耳科と歯科を分けて発信することにしました。2つのアカウントの総フォロワー数が3万人近くになってきたのは、凄いことだなあと驚いています。

両手を挙げて話している男性

皮膚科・耳科のアカウント開設から約2年が経ちます。フォロワーも2万人近い方がいらっしゃいますが、今の率直な感想を教えてください。

インスタグラムが役立っているという実感もありますが、それ以上に困っている人の多さに驚きました。今までは、「目の前にいる動物の皮膚病を治そう!」とやってきましたが、インスタグラムを通して、全国の飼い主さんの潜在的な意識も見えてきました。皮膚科はペット保険請求割合が高い科であるというデータがあるのですが、どこか実感に欠けるところがありました。一方、インスタグラムは直接飼主さんの声が届く。「うちの子も悩んでます」「助けてほしいです」とメッセージが届くことで、これまでより自分事化できたという感覚はあります。「北海道の函館で皮膚病に苦しむ動物と飼い主さんを救ってあげるために、自分に何ができるだろう」ということを日々お風呂で考えています。
これまでも仲間の獣医皮膚科医が獣医師や動物看護師、グルーマーらに、皮膚科講演をしてきましたが、今後は、飼主さんに向けた情報発信も重要になると思います。一過性で終わるのではなく、永続的に続くシステムが必要になるので、ここは経営者の腕の見せどころですね!

そういう意味では、困っている人だけでなく、感謝や喜びの声も届くのではありませんか?

あります、あります!臨床獣医師を辞めた私にとって、飼い主さんの喜びの声を聞ける数少ない機会で、本当に嬉しく思います。「このアカウントに出会えて、愛犬の皮膚が良くなりました」という声や、「先生に後押ししてもらってセカンドオピニオンに行けて良くなりました」というコメントもあり、とても嬉しくなります。 次第に、インスタグラムを通して『希望』を発信していこうと思うようになりました。インスタグラム開設当初は、とにかく正しい『情報』を届けるために頑張っていました。今は、インスタグラムを通じて「うちの子も治るかも…!?」という『希望』を与えられるアカウントにしていくことにやりがいを感じています。

楽しそうに話している2人の男性スタッフの方と談笑する豊田先生

今までの診察だけでは知ることができなかったオーナーのリアルな声が大きくなったのですね。

その通りです。困っている飼い主さんの声を聞いてなかったら、「よし、2店舗目を作ろう!」とか言ってたかもしれませんね(笑)。今は、「皮膚科・耳科で苦しむ動物の数をめっちゃ減らそう!」と思っています。そのための新サービスを作ろうと思っているのですが、これを考えるのはすごく面白いですね。すごく難しいですけど(笑)。

動物病院の患者さんだけでなく、全国の患者さんの役に立てる可能性がある。夢が広がります。

今後の展開はどのように考えていますか?

動物病院で働いているときに、めちゃくちゃ遠方の飼い主さんから電話相談されたという経験をしました。とても通えるような距離ではないわけです。動物病院は診察を待っている動物・飼主さんが沢山いるので、長電話にならないように電話を終わらせました。それが正解な気もするのですが、「あの飼主さん寂しい気持ちになっただろうなー!どうすれば良かったのかなー!」と今でも悩むんですよね。「動物を救いたい」って言ってるし思っているのに、「診察に通える動物限定です」って言ってる感じが非常に気持ち悪くて(笑)。 インスタグラムみたいに全国の飼主さんと繋がることができるようになったことで、自分たちの動物病院に通われている患者さんだけでなく、全国の患者さんの役に立てる可能性が出てきた。凄い時代じゃないですか?何ができるか考えるとワクワクしますよね。

投稿用のイラストを作成しているパソコンインスタグラム公式アカウント どうぶつの皮膚科より抜粋

インスタグラムで情報発信をするにあたって、何か仕方を工夫されているのですか。

内容とデザイン、この2つを意識しています。内容については「もっと詳しい情報が欲しい」という方もいますが、インスタグラムは「多くの人に知っておいてほしいこと」にフォーカスしています。多くの人を笑顔にするには、裾野を広げる必要があるからです。大事なことは、何回も言う、何回も投稿する、ということも大切ですね!人は6回言われてようやく6割理解するらしいと聞いたことがあります。また、デザインも可愛くわかりやすい、ついつい読みたくなるように意識しています。キャラクターも予算をかけてつくりましたが、それもとにかく裾野を広げるためです。 あとはインスタライブをやっているのですが、とても人気があります。私たちは結構フレンドリーなので、質問しやすかったりするみたいですね。

最後に皮膚で悩んでいるオーナーにメッセージをお願いします。

私が伝えたいのは「諦めないで」ですね。セカンドオピニオンを躊躇するオーナーさんもいるかと思いますが、「きっと誰か助けてくれる人がいる」ということを言いたいです。だから、どんなことであれ、行動に移してほしいです。ちょうど先日、「10年間続いた外耳炎が嘘のように良くなり、この1ヶ月間快適に過ごしています」という口コミを書き込んでくれた飼い主さんがいらっしゃいました。これを見て嬉しい気持ちと同時に悲しい気持ちにもなりました。その飼い主さんと愛犬が苦しんできた10年間は戻ってこない訳で、人間で言えば「50年間、激しい痒みが続いていた」ということだと思ったんです。どうか諦めず、セカンドオピニオンでもサードオピニオンでも頼ってほしいなと思います。 私たちも、役に立つ情報と明日に繋がる希望を発信していくので、ぜひインスタグラムに遊びに来てください。

動物病院の外観と待合室

サーカス動物病院 〒252-0823 神奈川県藤沢市菖蒲沢911 TEL︰0466-52-7541

インスタグラムアカウント
どうぶつの皮膚科・耳科
どうぶつの歯科

日本動物医療センター・上野弘道院長へのバトン

Q1. 動物を救い続けるために、何が業界に必要だと思いますか。
Q2. ホワイト企業認定など従業員の満足度も意識されていますが、従業員を笑顔にするためにどんなことをされていますか?効果があったと思うことを聞きたいです。
Q3. 上野先生は、獣医師としても10年以上活躍されていますが、「臨床医のときの幸せ・最大のハッピー」と「経営のときの最大のハッピー」を教えてください。また、臨床と経営で、楽しい瞬間と楽しくない瞬間が何対何くらいか割合を知りたいです。

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