サモエドは全身をおおう白くてふわふわの毛や、愛らしい顔立ちなどが人気の犬です。飼ってみたいと憧れる人も多いですが、実際の飼育を検討するなら、まずは犬種についてよく知る必要があるでしょう。この記事では、サモエドの歴史や特徴、かかりやすい病気、飼育における注意点などを詳しく解説します。
目次
サモエドの歴史

サモエドはロシア北部やシベリア原産の犬種です。シベリアに住むサモエド民族に由来して名付けられたことで知られています。サモエド族はサモエドに人間の警護やソリ引き、狩猟などさまざまな役割を任せていました。
19世紀後半に、イギリスの動物学者がサモエド族を訪れた際、サモエドをイギリスに連れ帰ったことで、徐々に世界へ知られるようになり、今日に至ります。
サモエドの特徴

サモエドの体高は雄が54~60cmほど、雌が50~56cmほどです。体重は雄雌ともに16~30kgほどで体は筋肉質であり、大型犬に分類されます。
サモエド・スマイル
愛嬌のある顔で、口角が上がった口元も特徴的です。笑顔に見えることから「サモエド・スマイル」と呼ばれています。
サモエドの被毛
被毛はふわふわしたボリュームのあるダブルコートで、厚く密集しています。毛のボリュームがあるため、実際よりも体格が大きく見えやすいです。寒さに強い厚めの被毛を持ち、サモエド族の暮らしの中では人が寄り添って暖を取る存在でもありました。毛の色はピュアホワイトやクリームなど白系です。
サモエドの性格

昔から人と暮らしてきたサモエドは、温和で優しい性格です。人懐っこくフレンドリーで社交性もあり、他の犬とも仲良くできます。
飼い主には愛情深く忠実で、甘えん坊で寂しがりな面もあります。また警戒心が強い一面もあることから、番犬の適性が高いと言えます。
サモエドのかかりやすい病気

サモエドには、かかりやすい病気がいくつかあります。日頃のお世話の中で体調の変化に気づけるよう、あらかじめどのような病気があるのかを理解しておくことが大切です。
心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)
心臓の左右の心房を隔てる壁(心房中隔)に穴が開き、左右の心房がつながってしまう先天性の病気です。
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●症状
穴が小さい軽度の場合は無症状のことが多いでしょう。穴が大きくなると右心房に大きな負担がかかり、呼吸困難や失神、チアノーゼ(舌や粘膜が青紫色になる)が起こります。 -
●診断
聴診で心雑音の有無を確認し、X線検査で心拡大や肺の状態を評価します。心エコー検査により心房中隔の欠損や血流の異常を確認し、確定診断に至ります。 -
●治療
症状がある場合は、心不全に対する内科的治療(投薬)を行います。欠損の大きさや状態によっては外科的手術やカテーテル治療が検討されます。
糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)
腎臓のろ過装置である糸球体に炎症が起こる病気です。犬での発症は、ほとんどが7歳以上で雄雌どちらにも起きます。
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●症状
尿にたんぱくが漏れ出たり(蛋白尿)、重度になると血管内で血液が固まるのを防ぐ物質が尿中に排出され、血栓症を起こしたりすることがあります。 -
●治療
原因となる病気がある場合は、その治療を優先します。改善がみられない場合は腎不全の治療が中心となります。
亜鉛反応性皮膚病(あえんはんのうせいひふびょう)
遺伝的に亜鉛の吸収不良が起きる場合、食べ物から十分に亜鉛をとっていても皮膚病が起こることがあります。
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●症状
鼻や眼の周囲、外陰部、肛門周囲、耳介内側面にフケやかさぶた、脱毛がみられます。 -
●治療
生涯にわたって亜鉛製剤を服用する必要があります。
筋ジストロフィー(きんじすとろふぃー)
骨格筋が進行性に変性し、筋力が低下する遺伝性の病気です。
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●症状
筋肉が弱っていくことで、運動を嫌ったり筋肉が落ちたりします。飲み込む力が落ちてご飯が食べにくくなったり、呼吸がしづらくなったりもします。 -
●治療
完全な治療法はなく、消炎鎮痛薬やサプリメントを使用して痛みを緩和する治療が中心となります。
脂腺炎(しせんえん)
皮膚にある皮脂腺(脂腺)が炎症を起こし、皮脂の分泌が低下・消失する病気です。慢性的に進行し、被毛や皮膚の状態が徐々に悪化していきます。
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●症状
毛が薄くなり、毛の根元にフケがみられます。さらに進行すると皮膚が分厚くなり、乾燥してきます。 -
●治療
完治が難しい病気のため、生涯にわたって症状のコントロールが必要です。薬用シャンプーの継続や保湿剤を使って皮膚の状態を維持します。
サモエドを飼うのに向いている人

サモエドは体が大きく力が強いため、小型犬に比べると飼うのが難しい面もあります。以下の条件を満たせる人が向いているでしょう。
- ・丁寧な被毛のケアを毎日続けられる人
- ・散歩や遊びの時間をしっかり確保できる人
- ・大型犬が快適に過ごせる広い生活環境を用意できる人
- ・暑さ対策の徹底した温度管理ができる人
サモエドの飼い方

サモエドの特徴をふまえながら、飼い方の主なポイントを解説します。日常的なケアやストレスをためない環境づくりが重要です。
被毛のケアを手厚く行う
豊かな被毛を保つために毎日のブラッシングが欠かせません。換毛期は特に抜け毛が多いため、丁寧に取り除きましょう。また、毛色が白く汚れが目立ちやすいため、散歩後のチェックや定期的なシャンプー(3週間に1度程度)も重要です。
室温・湿度管理を徹底する
寒さには強いですが、暑さや日本の湿気には非常に弱いです。室内では犬の息が荒くならない程度の温度を保ち、夏場の散歩は早朝や夜間の涼しい時間帯に限定しましょう。
しっかり運動させる
運動不足はストレスの原因になります。朝晩各30分以上の散歩に加え、ドッグランなどでの自由運動も取り入れましょう。室内ではおもちゃを使った知育遊びも効果的です。
食べ過ぎ・早食いを防ぐ
食欲旺盛なため肥満に注意が必要です。また、一気食いは胃捻転などのリスクを高めるため、早食い防止食器を使うなどの工夫をしましょう。
しつけで行動をコントロールする
体が大きく力が強いため、興奮した際にも制御できるよう、子犬期からのトレーニングが不可欠です。社会化を促し、他の犬や人に対して落ち着いて行動できるよう練習しましょう。
サモエドを家族に迎えようと考えている方へのメッセージ
特徴やかかりやすい病気を押さえてサモエドとの生活を楽しもう

サモエドは親しみのある笑顔とふわふわの被毛が魅力的な犬種です。一方で、大型犬ならではの力強さや手厚い被毛ケア、徹底した温度管理など、飼育のハードルは決して低くありません。特徴をよく理解し、サモエドが快適に暮らせる環境を整えたうえで、素敵なパートナーとして迎え入れましょう。
福山 貴昭 博士