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マルチーズ│歴史・かかりやすい病気・生活で気を付けたい点【専門家監修】

マルチーズ│歴史・かかりやすい病気・生活で気を付けたい点【専門家監修】

 
福山 貴昭
      

シルクのような純白で美しい被毛が魅力のマルチーズ。愛玩犬としての歴史は紀元前にまでさかのぼり、各国の王室でも愛されてきました。陽気で明るい性格で、飼い主とも良い関係を築きやすい一方で、気を付けたい病気もあります。ここではマルチーズの歴史や特徴、かかりやすい病気や飼育のポイントについて紹介します。

目次

マルチーズの歴史

マルチーズは地中海のマルタ共和国で紀元前1500年頃に登場したとされています。古代ローマやギリシア、エジプトの文献にも名前が残るほどで、イソップ物語にはその姿を思わせる描写も見られます。
もともとは海上交易に携わる船員たちのペットとして親しまれ、長い航海の癒やしとなる存在でした。また15世紀にはフランスやイギリスの貴族の間で大ブームが起こり、アイルランド王ヘンリー8世も深く寵愛したことで知られています。
こうした流れから、マルチーズは各国の王室で貴婦人たちの“抱き犬”としても愛され続けてきました。古代から現代まで、常に人と寄り添ってきた歴史がその魅力を物語っています。

マルチーズの特徴

マルチーズは、上品さと可愛らしさを兼ね備えた小型犬です。純白でなめらかな長い毛に覆われた姿は気品があり、絹糸のような質感を持つシングルコートが特徴です。鼻や唇、目の縁、足裏は黒く、黒々とした瞳と相まって、ふわふわした体とのコントラストが魅力を引き立てます。
体高は22~25cm、体重は3.2kg以下とコンパクト。体型は頭を高く上げて背中が水平になるのが特徴で、全体としてバランスの良い美しい体つきをしています。

マルチーズの性格

愛玩犬として長く人と暮らしてきた歴史から、マルチーズは人に慣れやすく、穏やかで従順な性格をしています。飼い主に甘え、遊ぶのも大好きです。
ただし、甘やかしすぎるとムダ吠えや攻撃的な行動が出ることもあります。そうならないためにも、子犬の頃から根気よくしつけることが大切です。

マルチーズのかかりやすい病気

獣医師の診察を受けるマルチーズ

マルチーズは比較的飼育しやすい犬種ですが、気を付けたい病気がいくつかあります。それぞれの病気について解説します。

僧帽弁疾患:僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

心臓にある僧帽弁に閉鎖不全が起き、左心室から左心房へ血液が逆流する病気です。老齢の小型犬に多く発生し、最終的に心不全を引き起こします。マルチーズは7~8歳で70~80%が僧帽弁閉鎖不全症になるとされています。

  • ●症状

    進行すると左心不全による肺水腫を原因とする呼吸困難が起こります。喉に物がつかえたような咳や、運動時に座り込む、倒れるなどの運動不耐症を示すようになります。
  • ●診断

    心雑音や肺音の異常の有無を一般身体検査で確認し、咳なども調べます。またX線検査、心エコー検査、血液検査、心臓の収縮力の検査なども行います。
  • ●治療

    基本的に治る病気ではないため、投薬によって左心不全に対する治療を行い、QOL(生活の質)改善を目指します。早期発見と早期投薬開始が治療のキーポイントです。
心臓病について詳しく知りたい方は 【こちら】
 

免疫介在性溶血性貧血(めんえきかいざいせいようけつせいひんけつ)

何らかの原因によって赤血球に対する抗体が作られ、血管内や脾臓、肝臓、骨髄内で赤血球が破壊される病気です。雌の発生率は雄の2~4倍とされています。

  • ●症状

    貧血の一般的な症状に加えて、発熱、血尿、黄疸、脾腫(ひしゅ)、肝腫(かんしゅ)が見られる場合があります。
  • ●診断

    赤血球に赤血球同士が結合する反応や、赤血球表面に抗体が付着することを証明する検査や赤血球の形態の変化から診断を行います。
  • ●治療

    数カ月かけて免疫抑制療法を行います。再発性や難治性の場合には、脾臓を摘出することもあります。

血小板減少症(けっしょうばんげんしょうしょう)

血小板が減少する主な要因は、炎症・腫瘍・ウイルスなどの感染症、免疫などです。発症のメカニズムとしては、血小板破壊亢進、過剰な血液凝固反応による血小板の消費の亢進、骨髄における産生異常、体内での分布異常によるものと考えられています。免疫的なメカニズムによって起きるものは、免疫介在性血小板減少症(IMTP)が多いのが特徴です。

  • ●症状

    体表部の紫斑、点状出血、消化管などからの持続的出血が起こります。
  • ●診断

    各種血液検査を行い、血小板減少症をきたす病気を除外することが必要です。
  • ●治療

    副腎皮質ホルモン製剤を中心とする免疫抑制療法が主体です。多くの場合、予後は良好ですが、治療には長い期間がかかります。

流涙症(りゅうるいしょう)

涙液が内眼角から溢れる状態をいいます。涙液分泌の増加や、涙液の排泄障害、涙嚢炎などの隣接する病巣などが原因です。

  • ●症状

    溢れ出た涙液と反応して、周囲の被毛が赤茶色に変色します。
  • ●診断

    ・フルオレセイン染色検査
    涙を緑色に染めて排出の状態を確認します。排出に問題がなければ鼻や口から出てきます。分泌量や排出に問題があれば眼の周りに流れ出て、その位置も診断の基準になります。
    ・鼻涙管洗浄
    涙点から鼻涙管にカテーテルを通して試験的に洗浄します。奥に炎症が起きていれば、膿が大量に出ることも。閉塞・狭窄の改善にもつながります。
  • ●治療

    涙液の増加や隣接病巣によるものは原因疾患を治療し、排泄障害の場合は涙管洗浄を行います。
流涙症について詳しく知りたい方は 【こちら】
 

甲状腺腫瘍(こうじょうせんしゅよう)

犬の甲状腺にできる腫瘍は99%以上が悪性で、腺癌という種類の悪性腫瘍であることが多いとされています。癌病巣(※)の転移もあり、肺への転移が多く起こります。
※がん細胞が増殖している部分

  • ●症状

    初期はほとんど無症状ですが、腫瘍が大きくなるにつれて周囲の器官を圧迫し、徐々に症状が現れます。気管が押されると呼吸が荒くなったり咳が出たりし、食道が圧迫されると、食後すぐに吐いてしまう、あるいは吐きそうな仕草を見せることがあります。
  • ●診断

    X線検査、超音波検査、CT検査、MRI検査などにより診断します。腫瘍が大きくなると、触診でも確認できるようになります。
  • ●治療

    外科手術を行います。初期で腫瘍を完全に切除できれば長期生存も十分に可能です。腫瘍が大きくなる、また肺に転移している場合は手術をしても寿命を大幅に延ばすことは期待できませんが、圧迫による症状を緩和するために外科手術を行うことがあります。

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう病気です。

  • ●症状

    歩き方に異常がみられる、足をかばうような動きをする、高い所からのジャンプを避けるなどの症状がみられます。
  • ●診断

    X線検査で診断します。
  • ●治療

    運動管理や体重管理を行い、痛みや炎症がある場合には非ステロイド性抗炎症剤を使用します。
膝蓋骨脱臼について詳しく知りたい方は 【こちら】

マルチーズの飼い方

コームをくわえるマルチーズ

明るく陽気で甘えん坊な面を持つマルチーズ。環境に順応しやすい犬種ではあるものの、飼い方にはいくつかのポイントがあります。

被毛のケアを丁寧にする

抜け毛の量は少ないですが、美しい被毛を保てるように毎日やさしくブラッシングしましょう。毛が細く静電気が起きやすいため、ブラッシングの前に静電気対策スプレーを使うのもおすすめです。
白い被毛は汚れが目立ちやすく、定期的なシャンプーも欠かせません。目や口の周りは汚れやすいため、ペット用のお手入れシートや、湿らせて硬く絞ったコットンなどでこまめに拭いて清潔な状態を保ちます。
被毛は自然に伸ばすスタイルが基本ですが、カットをして印象を変えたり、生活しやすくしたりする飼い主もいます。

関節への負担を減らす

マルチーズは膝蓋骨脱臼などの関節トラブルのリスクがあります。滑りにくい床材を選ぶ、大きな段差をなくして高い所から飛び降りさせないようにするなどの対策が必要です。

コミュニケーションを取る

マルチーズは活発で甘えん坊なので、日頃から十分なスキンシップやコミュニケーションを取りましょう。毎日の散歩で家族以外の人や他の犬とコミュニケーションを取る機会を作ることも、犬の社会化を進めるために大切です。

留守番の練習をする

積極的にコミュニケーションを取りながらも、留守番をする練習をすることも大切です。犬が一頭だけでもリラックスして過ごせるように練習しておけば、将来入院した時の不安やストレス軽減にもつながります。狭い場所に入り込まないよう、留守番をさせる時はサークルやケージの中に入れると安心です。

マルチーズを家族に迎えようと考えている方へのメッセージ

マルチーズの特徴やかかりやすい病気を知って家族に迎えよう

クッションにもたれるマルチーズ

長い歴史の中で人とともに生きてきたマルチーズを家族に迎え入れれば、たくさんの癒やしと笑顔を与えてくれることでしょう。一方でかかりやすい病気があるので、日頃のスキンシップを通じて体調の変化をよく観察し、定期的な健康チェックを欠かさないことが大切です。

監修者プロフィール
福山 貴昭 博士

福山 貴昭 博士

ヤマザキ動物看護大学准教授。犬を専門とする両親の下で動物と共に幼少期を過ごす。「日本のペット業界に福祉的成熟をもたらすプロを育成する!」「専門性が求められる学術の世界で“ジェネラリスト”を目指す!」という2つのミッションを胸に教育や研究に携わる。TV出演や執筆などマルチに活躍。
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