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獣医行動学専門医が解説!吠える犬の気持ちとしつけのポイント

獣医行動学専門医が解説!吠える犬の気持ちとしつけのポイント

 
尾形 庭子
      

飼い主さんを悩ませる愛犬の吠え問題。愛犬の心理を理解しながら、飼い主さんも愛犬も幸せになれるしつけのポイントについて、獣医行動学の専門医・尾形庭子先生に解説&アドバイスいただきます。ここでは、健康な生後6カ月以上の成犬を前提にお話しします。

プロフィール
獣医師の尾形庭子先生

尾形 庭子 先生

パデュー大学獣医行動科獣医師。米国獣医行動学専門医。日本獣医畜産大学獣医学科卒業。1997年にどうぶつ行動クリニック・FAUを大阪で開業。2007年に東京大学大学院博士課程を修了し、博士号(獣医学)を取得。2008年に渡米し、タフツ大学獣医行動科でレジデント研修を行ったのち、同大学に勤務。2012年から現職。パデュー大学に勤務しながら、日本でもビデオやオンラインを使ったカウンセリング、かかりつけの獣医師を経由する間接カウンセリングを行う。
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目次

犬はなぜ吠えるのか?知っておきたい愛犬の心理

吠えている犬の様子

愛犬が吠えるのには理由がある。まずは犬がどんな状況で吠えているかを観察してみて!

飼い主さんにとっては一見「無駄」と思える愛犬の吠え行動にも、必ず吠える理由があります。だからこそ、まず愛犬がどんな状況で吠えているかを観察してみてください。健康な犬が吠えるケースは、大きく2つ。特定の人・動物・もの、同じ場所やタイミングなど「決まったパターンで吠える場合」と、規則性がなく突然騒ぎだすような「ランダムに吠える場合」です。

「決まったパターンで吠えるケース」で人や動物が対象の場合、愛犬がその相手を知っているか?知らないか?が大きく影響します。知っている相手で、親しい相手ならコミュニケーションをとっている可能性が高いです。一方で、よく知らない相手であれば、もっと距離をとりたい、避けたいという要求があるのかもしれません。
このように吠え癖が気になるという方は、「いつ・どこで・どのように吠えているのか」をよく観察して、愛犬の気持ちを汲み取ってあげてください。

わんポイントアドバイス!

わんポイントアドバイス!

ランダムに吠える場合、毎日愛犬と触れ合っている飼い主さんだからこそ理由を見つけるのは難しいかもしれません。客観的な視点で愛犬のことを知る意味でも、ぜひ獣医行動学の専門家に相談してください。獣医行動学では、人の精神科・心療内科のような立場から犬の問題行動の治療・予防を行います。

Case 1. 朝、愛犬が突然吠えだすのはなぜ?

早朝に吠えている愛犬の様子

「ごはん」「散歩」「トイレ」などの要求だけでなく、朝、ご家族の行動が原因のケースも…。

その犬の暮らし方や朝のご家族の状況がわからないため一概には言えませんが、例えば「ごはんを食べたい」「散歩に行きたい」「トイレがしたい」などの要求や生理現象によって吠えることはよくあるケースと言えます。

また意外と知られていませんが、「ご家族が朝の支度でバタバタしていることが原因」ということも比較的に多いですね。朝、ご家族が身支度などに焦っている状況に犬が興奮してしまい、結果、吠えてしまうというケースです。もし愛犬が朝吠えるけれど「平日だけで、休日は吠えない」ということであれば、原因はご家族の行動パターンにあるのかもしれません。そうした場合は、飼い主さんが時間に余裕を持って生活すること、犬をバタバタの渦中に置かないこと(別の部屋で待っていてもらうなど)が予防策になりますね。

わんポイントアドバイス!

わんポイントアドバイス!

まずは犬が生理的に満たされているのか、我慢をさせていないかを確認しましょう!吠え問題は、これらをクリアした後で行うことが前提です。その上で、犬の行動を変える成功のポイントは「犬の先手を打つこと」。決まったパターンで吠える犬の多くは、「吠えれば要求(ごはんや散歩など)が通る」と思い込んでいる可能性があります。

そのため犬の行動を変えるためには、愛犬がいつ・どこで・どのような状況で吠えるかをよく観察し、「吠えだす前にごはんをあげる」「吠えだす前に連れて出る」など先手を打ってみてください。

Case 2. インターホンの音に愛犬が大興奮!

インターホンの音に反応する愛犬の様子

犬は社会的で、縄張りを持つ動物。インターホンに反応するのは自然な行動、吠えやまないことが問題!

インターホンが鳴ると反射的に短く吠えるという場合、社会的で縄張りを持つ犬が家族とそれ以外の人や物音を区別し、警戒するのは自然な行動です。しかし、警戒心が強かったり臆病な犬はインターホンが鳴ったり外部の物音がすると、知らない人が来たと思い込み「パニック気味に激しく吠える」「吠えだしたら止まらない」「攻撃性も伴う」ということが少なくありません。こういうケースは訪問者にとって危険であり近所からも苦情がくることが多いです。

わんポイントアドバイス!

わんポイントアドバイス!

インターホンの音に過剰に反応させないためには、日頃から犬の「インターホン=危険」という思い込みを作らないこと。例えば、飼い主さん自らインターホンが鳴ったら必ず玄関に向かうのではなく、犬を台所に連れて行きおやつをあげるという風にパターンを変えるのも1つの手段。「インターホン=飼い主さんからのおやつ」と思い込むまで繰り返し練習すると、予防できます。(一人暮らしの方はスマホなどの効果音を使って模擬練習できます)。集合住宅や吠え声が大きい犬種を飼う方は、子犬のうちから積極的に教えていきたい項目ですね。
ただし、すでに「思い込み」が成立してしまって激しく吠える場合や攻撃性を伴うときには、まず専門家に相談してください。

Case 3. ケージに入れると、愛犬が鳴いたり吠えたり…

ケージ内で鳴いたり吠えたりする愛犬の様子

ケージに不慣れな犬にとっては「不安」な場所。安心してくつろげる「居場所」だと教えてあげて!

まずは犬がケージに慣れている場合と、慣れていない場合で、別々の理由が考えられます。ケージに慣れているのに吠える犬は、ごはんや散歩など生理的欲求から吠えていることが多いですね。次にケージに慣れていない犬の場合ですが、こちらは自由に外へ出られないことへの「不安」や「居心地の悪さ」を伝えようとしているのかもしれません。場合によっては吠えるだけでなく、おしっこしたり、パニックを起こして、ケージをかじったり、足をはさんで怪我をすることもあるので注意が必要です。このような場合、まずケージそのものに慣れさせないと改善はありません。

ケージに慣れさせたいという方は、置き場所も意識してください。愛犬が安心して過ごせるように、家族がよく集まる場所に置くことからスタートしましょう!また、慣れるまでケージの扉は必ず開けたままに。犬にとって慣れない場所に突然閉じ込められるのは、「捕獲のためのワナ」と同じ。警戒心が高まり、さらに寄り付かなくなって当然です。扉を開けたケージの中で、おもちゃで遊ばせたり、ご飯を食べさせたり、徐々に慣れさせていき、犬が自らケージに入り、中で休んだり過ごす様子が観察できることが第一歩です。
*クレート・ケージトレーニングで困っている方は、上記専門家に相談してください。

わんポイントアドバイス!

わんポイントアドバイス!

ケージトレーニングに失敗する理由は、練習を途中でやめてしまうケースがほとんどです。在宅勤務の方や、常に誰かが家にいるという状況であれば、必ずしもケージは必要ないかもしれません。しかし、「旅行に一緒に行きたい」「高齢の方や小さい子どもと過ごすことが増える」など、環境や生活パターンの変化が先々予測されるなら、ケージの使用が犬にとっても安心材料になり、順応しやすいですね。愛犬との豊かで快適な暮らし方は人それぞれ。一時の判断でトレーニングを中断する前に、まずは、愛犬とどんな暮らしをしたいのかをよく考えてみてくださいね。

一人で抱え込まずに、お悩みごとは専門家に相談を!

ここで紹介したのは一般的な事例です。犬は吠えることで自らの意思を表現しているため、一旦その方法を学んで激しく吠える場合は理由がなんであれ、簡単には解決できません。近隣問題にも発展しかねないテーマだけに、自分だけで解決するのが難しい場合には、先延ばしにせずまず専門家に相談してください。

まとめ

今回は、犬に寄り添いながら、吠え問題を解消できるようなトレーニングのポイントについて獣医行動学の専門医・尾形庭子先生に教えていただきました。ぜひこの機会に、愛犬が何を考えているのか愛犬のことをよく観察して、先生のアドバイスを実践してみてください。

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