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「Team HOPE」Founder(創立者)太田亟慈先生に聞く!愛犬、愛猫を病気にさせないために。「健康診断」は獣医師とオーナーの共同ミッションです!

「Team HOPE」Founder(創立者)太田亟慈先生に聞く!愛犬、愛猫を病気にさせないために。「健康診断」は獣医師とオーナーの共同ミッションです!

 
太田 亟慈
犬山動物綜合医療センター
202HugQ
      

10月13日は「じゅうい(獣医)さん」ということで「ペットの健康診断の日」だということを、皆さん、ご存じですか? 秋はペットの健康診断シーズン。今回、登場していただく太田亟慈先生は、早くからペットの健康を守るために、健康診断の必要性を提唱し、定期的な受診を推進する獣医師団体「Team HOPE」の創設者です。「ペットの健康診断は、『できれば、やった方がいい』ではなく、『絶対やらなきゃいけない』ミッション」。そう語る太田先生に、愛するペットの健康長寿のために、なぜ健康診断が必要なのか、その意義や役割、メリットについて聞いてきました。

プロフィール
太田 亟慈(ジョージ)先生

太田 亟慈(ジョージ)先生

犬山動物総合医療センター代表。
犬・猫、小動物の外科手術を専門に40年以上、動物の命と向き合い続ける中、病気の早期発見・治療を実現するために獣医師がやるべきことは「健康診断」だと、定期的な受診を啓発推進する獣医師団体「Team HOPE」を2013年に創立。現在は、「Team HOPE」理事として、動物病院と飼い主をつなぐ健康診断のPR活動やYouTube番組の配信、イベント企画などを精力的に行っている。「動物のいない空間、生活は考えられない」というほど、大の動物好きで、獣医師である奥様と一緒に、ティーカッププードルの「レディちゃん」、スタンダードプードルの「ラムちゃん」、猫の「テンちゃん」に癒やされる毎日。

ペットの健康診断の普及、増進に取り組む獣医師団体「Team HOPE」
・太田先生が「Team HOPE」の動物病院を訪問&紹介するYouTubeチャンネル
「ジョージ先生が行く!Team HOPE動物病院訪問記」
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目次

「健康診断」こそ、獣医師がやるべき予防医療

健康診断について説明する太田 亟慈(ジョージ)先生

「ペットの健康診断は絶対に必要」と提唱している太田先生ですが、その重要性を考えるに至った経緯をお聞かせください。

獣医師として40年、そのうち30年間は外科手術を専門にペットたちの生と死に向き合う中で、もう少し早く病院に来てくれていれば助けられたのに……という思いを、嫌というほど経験してきました。そして、どうすれば重篤化する前に病院に来てもらえるのか考えた時、健康診断の重要性に気づかされたんです。

飼い主さんは、ペットが元気で何の問題もなければ動物病院には連れて来てくれません。でも、病院に連れて来た時にはすでに危険な状態で、どんなに手を尽くして手術をしても助からず亡くなってしまうこともある。もし、定期的に動物病院で検査をしていれば、必ず病気の兆候・サインは見つけることはできただろうし、治療の選択肢もあったはず。

だからこそ、元気なときに獣医師がその子の体の中をしっかりチェックする健康診断こそ獣医師がやらなければならない、動物病院が提供しなければならない義務だと、獣医師仲間に声をかけ、健康診断の認知理解を広げていこうと「Team HOPE」立ち上げました。

■「Team HOPE」とは

Team HOPEはペットの健康診断を推進する獣医師団体。「ペットの健康診断の普及に努めます・ペットの健康寿命の延伸に全力で取り組みます・ペットの幸せな生活を通じて豊かな社会作りに貢献します」をミッションとしている。
公式サイト:http://teamhope-f.jp/index.html

健康診断は、0歳から毎年1回、シニア期からは年2回は必須!

健康診断の回数について説明する太田 亟慈(ジョージ)先生

健康診断はなぜ受けた方がいいのか、何歳からどれくらいの頻度で受けるべきなのでしょうか?

「Team HOPE」としては、健康診断は0歳から年に1回、7歳以上のシニア期からは年に2回、必ずやるべきということをまず、お伝えしたいですね。

なぜ、0歳から必要かというと、0歳の検査数値は、元々の体調・体質を示すその子のスタンダードになるので、そこから毎年、成長や体の変化を見ていくことができます。そして、心臓、股関節などに先天性の異常や疾病がある場合、0歳の健康診断で発見されるケースがほとんどです。

また、0歳から健康診断を行うことで、獣医師はその子の生まれつきの健康状態や体質を把握することができます。そうすると、この犬種は肥満や糖尿、腎臓病になりやすいという一般的なアドバイスではなく、その子に合わせた個別の健康指導、栄養指導ができます。

0歳から毎年蓄積した健康診断のデータはその子の個体差を示す唯一のもの。それがあれば、獣医師は的確な診断ができ、予防、対策が打てるので重症化を防ぐことにつながります。

「Team HOPE」の健康診断では、どんな検査を行っているのでしょうか?

全国の病院でそれぞれにオリジナルの健康診断がある中で、「Team HOPE」として追求したのは検査の確実性。健康診断を受けた時は「異常なし」だったのに、その後、病気が見つかるようなことがあると、健康診断を受ける意味が失われてしまう。

そこで「Team HOPE」では、医療において100%絶対はないとはいえ、限りなく完璧に近い精度の検査ができるように、問診・視診・触診・聴診・血液・便・尿・レントゲンの8項目を基本のコースとして推奨しています。

■健康診断の風景

動物病院での犬の健康診断の様子
動物病院での犬の健康診断の様子

亟慈先生の息子であり、犬山動物総合医療センターに勤める獣医師、太田理造先生が診察室で触診中。触診を受けているのは、犬山市の職員犬であり、セラピードッグとして活躍中の白ラブ「おとひめちゃん」と、パグ「幸来男(ゆきお)くん」。この病院で過ごすことも多いという二匹は、動物愛あふれる先生やスタッフに囲まれ、いつもニコニコ。健康チェックを欠かしません。

動物病院のレントゲン撮影ルーム

レントゲン撮影ルーム

動物病院での超音波撮影ルーム

超音波撮影ルーム

■「Team HOPE」の健康診断報告書

健康診断報告書

見やすいイラスト付きでペットの検査結果がひと目で分かる「Team HOPE」の健康診断報告書。
受診されたオーナーさんたちからも「わかりやすい」と好評です。

万一、検査で病気が見つかっても、治療の選択肢がある。
元気な今こそ、健康診断を受けてほしい。

健康診断について説明する太田 亟慈(ジョージ)先生

8項目しっかり検査していれば安心! とはいえ、元気なペットにそれだけの検査を受けさせる必要があるのか迷われる方も多いのでは?

一度に8項目の検査となると、ハードルが高いと感じられる方のために、半年ごとに2回に分けて行うなど、オーナーさんの負担にならない方法や検査項目を絞ったライトなコースも用意しています。

とはいえ、どこも悪いところがないペットをわざわざ病院に連れて行って費用もかかるとなると、やっぱり躊躇してしまいますよね。でも、健康診断は、元気なときに受けてこそ意味がある。症状が出てから病院に駆け込んだら、体の状態は切迫しているので治療の選択肢も限られ、それこそ、お金もかかる。最悪の場合、手術しても助からないこともある。だから、どうか受けてあげてほしい。一度受けてもらえば、必ずその意義や重要性は理解してもらえると、獣医師の自信と責任をもっておすすめします。

毎年受けることで、深まる理解、獣医師との信頼関係。

0歳の時から毎年、受診することで、オーナーさんも病院が身近に感じられますよね。

そうなんです。獣医師とオーナーさんが信頼関係を築けるのも、健康診断の大きなメリット。切迫した状況じゃないから獣医師もオーナーさんも時間と気持ちに余裕があるし、オーナーさんも普段気になっていることを遠慮なく相談したり、色んな話がしやすいですよね。

そういう意味でも、健康診断はオーナーさんと獣医師のコミュニケーションを深める絶好の機会。獣医師にとっても、0歳の時から毎年診ていると、その子の体質や性格、ご家族のライフスタイルなどを深く知ることができるので、病気になった時にも、その子にとって何が一番いい方法なのか、そのご家族にとって最良の手術や治療法を提案できます。

動物病院
健康診断の結果を説明する獣医師

健康診断の結果は、専用ルームにて獣医師からオーナーに丁寧に解説

動物病院の待合スペース

健診専門棟の明るくカラフルなインテリアに心なごむ待合スペース

健康診断の普及活動を続けてこられた10年間で、健康診断をペットに受けさせるオーナ-さんは増えていますか?

ええ、それはもう驚くほど増えましたね。とくに、犬の健康診断は一般的な認知度も高まっていて、1度受診された方は、毎年受けに来られる方がほとんどです。

一方、猫は病院に連れてくるのが大変なので、犬に比べると受診率は伸び悩んでいます。病院に慣れさせるという意味でも、0歳の時から健康診断を受けてもらえたらと思いますが、うちの猫でも嫌がるくらいだから、なかなか難しいですね(苦笑)。そこで今、猫オーナーさんに尿の検査キットを提供し、それをきっかけに病院に来てもらう取り組みを始めています。尿検査だけでも、猫に多い腎疾患や尿路結石などの泌尿器トラブルなどの発見につながるので、こうした新しい取り組みを全国の病院にどんどん広げていきたいですね。

犬と触れ合う獣医師

何度も顔を合わせることで、獣医師とワンちゃん猫ちゃんの間にも信頼関係が生まれます

最後に、先生がめざす獣医師、動物病院のあり方をお聞かせください。

僕が今、目指しているのは、この病院に来たらなんでもできるという「ワンストップ ホスピタル」です。さらに、オーナーさん家族や子供たちが動物と自然に触れ合いながら交流できる、人とペットが心地よく快適に過ごせる、「また来たい」と思える動物病院にしていきたいですね。

現在は、病院のロータリーにカフェスペースを作る計画が進行中。今後は、病院のスペースを使って、子供たちが命の大切さ、痛みや苦しみを思いやる気持ちを育むことのできる、動物たちと触れ合うイベントや機会を色々と企画していくつもりです。

獣医師としては、「ペットの病気を治す」だけでなく「気軽に相談できるサポーター」でありたいと考えています。かかりつけ医というよりも、一緒にペットの幸せ、健康を守っていくファミリーのようになれたら、という気持ちですね。

一匹でも多くのペットたちが健康で幸せに暮らせるように、獣医師としてできることはやるべきというのが僕のスタンスなので、ブリーダーやペット販売業者から先天性疾患のある子を引き取り、無償で手術治療をして里親を探すなど、動物たちの命を救う活動も「Team Bowwow」(様々な機能障害を持って生まれてきた犬や猫を「どうにかして助けたい」との思いから、医師が中心となって設立した団体。太田先生はその代表理事も務めている)のミッションとして積極的に取り組んでいます。

太田 亟慈(ジョージ)先生

Message for Pet Owners
太田亟慈先生のメッセージ

家族の一員であるペットがずっと元気に長く生きられるためには、病気になる前にリスクを防ぐ未病、予防が肝心です。言葉で体調や痛みを伝えられない犬や猫の「声なき声」に気づいてあげられるのは、私たち獣医師とオーナーの皆さんしかいません。元気に見えても、健康診断で初めて病気が発見されるケースはとても多く、とくに、良性悪性にかかわらず腫瘍が見つかる確率はとても高いです。目に見えない体の中で進行している異変を発見するチャンスは、健康診断しかありません。

獣医師とオーナーさんは、愛犬、愛猫の健康、命を救いたい思いを同じくするファミリー、チームです。病気にさせないように、幸い早期発見で良くなるように、健康診断を通じて、愛する動物たちのために力を合わせていきましょう。

Pick up「ペットの健康診断」をリアルに紹介しています!

知ってはいるけど、まだ受けたことはないというオーナーさん必見!実際にどんなことをするのか、どんなことがわかるのか、ペットの健康診断の気になる内容はこちらをご覧ください。

犬の健康診断ってどんなもの?① 体験編「人気の黒ラブ・クロエちゃんが⾏ってみた!」

検査結果における数値の見方についてもっと知りたい方はこちら!

犬山動物総合医療センターで使用されている健康診断結果のリーフレット(IDEXX社製)には、血液検査、尿検査などの結果が、とてもわかりやすく書かれています。ご自身のペットの健康診断結果の見方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

IDEXX 検査結果のご案内 リーフレットより引用

出典:IDEXX 検査結果のご案内 リーフレットより引用

取材にご協力いただいた病院

犬山動物総合医療センター 愛知県犬山市羽黒大見下29

犬山動物総合

動物病院のMRI
動物病院の手術室

トリミングサービス、ドッグ&キャットホテルも完備したアニマルケアセンター

ドッグホテルルーム

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キャットホテルルーム

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