Vet’s Advice! 皮膚トラブル【前編】

Vet’s Advice! 皮膚トラブル【前編】

伊從 慶太
      

皮膚トラブルに苦しむ犬は多く、動物病院の来院理由のトップは皮膚病!なんと全体の25%に及びます。そして、犬の皮膚病のほとんどは、アレルギー性皮膚炎とアトピー性皮膚炎が原因。そんな悩ましいアトピー・アレルギーの改善に、今注目されているのが、腸内環境を整え免疫力をアップする「腸活」!
今回は、皮膚科専門医の伊從先生が、犬の「腸活」についてアドバイス!愛犬のアトピー・アレルギーに悩むオーナーさんのギモン&質問にお答えします。

プロフィール

伊從 慶太 先生

獣医師、獣医学博士、アジア獣医皮膚科専門医、株式会社VDT / 株式会社 FINAL ANSWER最高技術責任者。犬の皮膚科の専門医として、獣医師向けのセミナーや講演だけでなく、WebやSNSを通じて、皮膚病の改善や予防に役立つ情報を積極的に発信。愛犬は、柴犬の小太郎くん。趣味は園芸、動物との対話を大切にした診察の合間には、植物との対話を欠かさない先生。

飼い主のための皮膚科情報サイト
アトピー・アレルギー改善&予防に役立つ情報満載「pet _skin」
皮膚科の情報盛りだくさん!公式YouTube

伊從先生のつぶやき(公式Twitter)
続きを見る

アトピー・アレルギー改善&予防のヒケツ。
ずばり教えて、伊從先生!

かゆみの原因となる「アレルギー性皮膚炎」、「アトピー性皮膚炎」って、どんな病気なんですか?

アレルギー性皮膚炎は、その名の通りアレルギー反応が関わって皮膚にトラブルが生じる疾患です。アレルギー性皮膚炎には、ノミや薬によって引き起こされるアレルギーなど様々なカテゴリーがあります。

アトピー性皮膚炎はアレルギー性皮膚炎の一種で、主に環境アレルゲンや食物アレルゲンによってアレルギー反応が起こり、慢性・再発性のかゆみが生じる厄介な皮膚トラブルです。

深掘れ!わんわんアドバイス その1

様々な要因によって引き起こされるアトピー性皮膚炎。
その症状の見極め方とは?

これまで、アトピー性皮膚炎は「アレルギー体質によるもの」と考えられてきましたが、原因はそれだけではなく、皮膚バリアの低下、ライフスタイル、そしてお腹の中の常在微生物など様々な要因が関与している多因子疾患であることがわかってきています。

アトピーに共通した症状は、生活の質を落とすほどのかゆみです。かゆくて引っ掻いてしまうことで、赤くなる、ただれる、毛が薄くなる、フケやカサブタが出るなどの皮膚症状が出てきます。症状は多くの場合、左右対称に見られ、現れやすい場所があります(下記参照)。しきりに体を搔く、噛む、舐めるなどの仕草が頻繁に見られたら要注意。早めに病院で診てもらいましょう。

■症状が現れやすい場所

  • 目・口・耳まわり
  • 腹部
  • 首の内側
  • 内股
  • 足先

うちの子はまだ子犬です。アトピーになりやすい犬種や年齢はありますか?

なりやすい犬種は様々ですが、私の皮膚科診療でアトピーのご相談が多い犬種としては、柴犬、フレンチ・ブルドッグ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、ラブラドールあるいはゴールデン・レトリバーなどがあげられます。また、犬のアトピーは、ほとんどの場合、3歳までに症状が現れるといわれています。

アトピー性皮膚炎になりやすいといわれる犬種

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズー、パグ、ボストンテリア、フレンチ・ブルドッグ、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、ワイヤーへアード・フォックス・テリア、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパード・ドッグなど

愛犬にアレルギーがあるのか知りたいです!病院に行けば、アレルギーの原因はわかりますか?

アトピー性皮膚炎は複数のアレルゲンが関与していることが多いため、アレルゲンを全て特定するのは難しい場合がありますが、主に環境アレルゲンが関わっているタイプか、食事が関与しているタイプか、を判別することは十分に可能です。ただ、一度の診察でアレルギータイプを鑑別することは困難です。

最近は動物のアレルギー検査法も進歩していますが、残念ながらアレルギー検査のみで確定はできません。経過、症状、治療反応などを含めて総合的に診断することが重要になるので、2~3ヶ月程度の期間をかけて、焦らず、じっくり、探っていきましょう。

また、アトピー発症に関わる原因はアレルゲンだけでないことから、皮膚バリアやライフスタイルなどにも目を向けて診断・治療計画を立てていくことも大切です。

深掘れ!わんわんアドバイス その2

アトピー・アレルギーになりやすい体質、
「免疫系の異常」とは?

アトピーになりやすい・アレルギーを起こしやすい体質を一言で表すと、「免疫系の異常」です。免疫は、外の世界から侵入してくる細菌やウイルスなどの異物から体を守るためのシステム。

この免疫システムには、体にとって害のあるもの(例えば病原体)とないものを見分ける力が備わっていますが、アトピーやアレルギーでは、この「良いものと悪いものを判別する」免疫システムに異常があり、体にとってさほど害のないもの(例えば花粉)にまで過剰に反応してしまう状態なのです。

免疫が悪さをしているんですね…。免疫の働きを良くすることはできませんか?

実は、体の免疫システムを調整している重要な臓器は、腸です。そしてこの免疫システムを調整するために欠かせないのが腸内細菌。いわゆる「腸活」とは、この腸内細菌たちを豊かにする治療法であり、「腸活」を続けることでアトピーやアレルギーの症状が緩和されるケースもあります。

近年、犬や猫でも腸内細菌と病気との関わり合いが少しずつ解明されてきています。アトピーは皮膚の病気ではありますが、意外にも腸にアプローチすることで免疫システムを良い方向に持っていけるのかもしれません。

深掘れ!わんわんアドバイス その3

アレルギーやアトピーの改善・予防に「腸活」がいい!ワケ。

私たちは日々、当たり前に食事をとっていますが、食事で摂る様々な物はもともと体には存在しない異物。ところが、腸はそれを「異物」ではなく「体にとって必要なもの」と判断し、生命と健康を維持するために有効に利用します。

一方、ひとたび食中毒を起こすような病原体が入ってくれば積極的に排除します。まさに腸は、免疫システムがバリバリ働いている臓器です。そして、腸内細菌が豊かで、善玉菌が活発に働くことで、免疫システムを円滑に動かす物質が作り出されます。アトピーやアレルギーを発症した人と、健康な人の腸内細菌を比べてみると、アトピーやアレルギーの方では腸内細菌の種類が乏しく、善玉菌が少ないことがわかっています。

深掘れ!わんわんアドバイス その4

抑える細胞の働きを高める、最新のアトピー治療。

免疫細胞には体内に侵入してきた異物と戦う細胞(炎症性細胞)と、それを抑える細胞(制御性細胞)があります。アトピーやアレルギーの薬物療法は、主に、戦う細胞の暴走を止めるものが主体です。しかし、抑える細胞の働きを高めることが戦う細胞の活動を抑えることにつながることも忘れてはいけません。

アトピー性皮膚炎において、抑える細胞の働きを高める治療には、「腸活」のほかにアレルゲン特異的免疫療法(減感作療法)が挙げられます。国内では「アレルミューン」と呼ばれる減感作療法製剤が利用できますので、興味のある方は一度病院に相談してみてくださいね。

『Vet‘s advice 皮膚トラブル前編』では、かゆみの原因となるアトピーやアレルギーについて伊從先生にご解説いただきました。後編では「教えて!自宅でできるアトピー・アレルギーの改善&予防方法」と題して、注目の「腸活」についてアドバイスをいただきます。ぜひ、お楽しみに! ぜひ、お楽しみに!

取材にご協力いただいた病院

サーカス動物病院 神奈川県 藤沢市菖蒲沢911

サーカス動物病院では独自にサプリメントも開発販売中

Instagramで様々なペットケアについての知識を公開しているサーカス動物病院。
新たにペットのスキンケアについての情報発信サイト『どうぶつのスキンケア』もスタート!「そうだったのか!」と思える情報満載です。ぜひご覧ください。
(どうぶつのスキンケアは右のQRコードからどうぞ)

 
  • twitter
  • facebook
  • LINE

記事制作にご協力頂いた方

「いいね♡」を押すとブログを書いた動物病院にHugQポイントが贈られます。
会員登録をしてあなたの「いいね♡」を動物病院に届けてください!

「ブックマーク」機能の利用には会員登録が必要です。