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Vet’s Advice! 猫の腎臓病【食事編】

Vet’s Advice! 猫の腎臓病【食事編】

 
布川 智範
ぬのかわ犬猫病院 戸塚本院
300HugQ
      

前回の『Vet's Advice!猫の腎臓病 基本編』に続き、今回の「食事編」では、腎臓病の療法食の考え方や与え方など、慢性腎臓病の猫の食事にまつわるオーナーさんのお悩み&質問に布川先生がお答えします!

プロフィール
布川 智範 先生

布川 智範 先生

ぬのかわ犬猫病院本院 獣医師。日本大学卒、東京大学内科系研修医修了。飼い主とペットの苦しみに寄り添い、その子にとってベストな治療法を見出す姿勢をモットーに、犬猫の高齢化によって年々増加している腎臓病、ガン(悪性腫瘍)、心臓病、呼吸器系疾患などの治療を行っている。幼い頃からつねにペットと暮らす毎日で、現在の先生の動物家族は、トイプードルの「太郎」くん、ブリティッシュショートヘアの「ブリテ」ちゃん。

日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種
一般社団法人犬・猫の呼吸器臨床研究会
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知っておきたい慢性腎臓病の食事!
療法食のお悩みQ&A

布川 智範 先生
疑問を持っているペットオーナーのイラスト

Question 愛猫が療法食を食べてくれません!
フードにトッピングをしても大丈夫ですか?

布川 智範 先生

Answer 療法食を食べてくれないお悩みはとても多いですね。けれど、療法食は、慢性腎臓病の進行を遅らせる大切な治療。最初からトッピングすることはオススメしません。愛猫のためにも、まずは療法食を食べる工夫をしてみましょう!

例えば、フードを温めると香りや風味が良くなり、食いつきが良くなることがあります。また最近の療法食は様々なタイプ・テイストが揃っているので、1つの療法食を食べないからと諦めず、ドライやウェットなど、様々なタイプを試しながら、その子の好みを見つけてあげてください。

疑問を持っているペットオーナーのイラスト

Question 腎臓病にならないように、
若いうちから療法食にするべきですか?

布川 智範 先生

Answer 腎臓食で制限している「たんぱく質」「リン」「カリウム」は、生命の維持に必要な栄養素でもあります。元々猫は肉食動物なので、たんぱく質を制限した療法食を与えると、栄養不足になりかねません。あまり神経質にならずに、愛猫のライフステージに合わせたフードを選んであげましょう。

また心疾患や泌尿器疾患を持つ子は腎臓病を併発しやすいことから予防のために療法食を与えたいという方もいます。ただ検査で腎臓に問題がないのであれば、その子に適したフードを与えてあげていれば大丈夫です。

猫の腎臓病について教えてくれる布川 智範 先生

疑問を持っているペットオーナーのイラスト

Question 野菜スープなど「手作り食」を与えていいですか?

布川 智範 先生

Answer 獣医師としては、食事は療法食をベースにすることをオススメしています。もちろん「たんぱく質」「リン」「カリウム」を排除できるのであれば問題はありませんが、野菜にもリンやカリウムは含まれており、それらを家庭で十分に制限することは難しいのではないでしょうか。

どんな成分をどこまで制限すべきかは、きちんと検査した上で、その子の体調や筋肉量などから総合的に見極める必要があります。手作り食やサプリメントを取り入れたいという方は、まずはかかりつけの先生に相談してみてください。

疑問を持っているペットオーナーのイラスト

Question うちの子は慢性腎不全で、何も食べない状態が続いています。
好きなものを食べさせてあげたいのですが……。

布川 智範 先生

Answer 愛猫が「何も口にしない」「食べられない」姿を見るのは、オーナーさんにとってはとても辛いことだと思います。点滴などで多少食欲が戻ることもありますが、場合によっては、胃や食道にチューブ入れて食事を注入する経腸栄養(胃ろう)という手段もあります。
とはいえ、そのまま何も食べられない状態が続くのなら、療法食にこだわらず、その子が食べられるものを食べさせてあげるのも1つの選択肢です。その子に残された時間を幸せなものにしてあげたいオーナーさんの思いに寄り添いながら、最期まで一緒に向き合い続けたいと思います。

Message for Pet Owners
布川先生からのメッセージ

笑顔で話す布川 智範 先生

腎臓病は初期段階では症状が見えにくいため、嘔吐や食欲不振などで病院に来られたときは、かなり腎臓病が進行しているという場合がほとんどです。それでも早期発見できれば、腎臓のダメージの進行を遅らせ、治療を続けることで、日常生活に支障なく長生きできるケースも少なくありません。
私が診察している中でも、腎臓病を初期段階で発見できたケースは健康診断がほとんどです。医療も進歩し、血液検査や尿検査からわかることも増えていますので、定期的な検診をどうか心がけてくださるとうれしいです。

取材にご協力いただいた病院

ぬのかわ犬猫病院ぬのかわ⽝猫病院

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