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行き場のない犬猫たちに新しい家族を。動物たちの命をつなぐ保護活動のいま ①

行き場のない犬猫たちに新しい家族を。動物たちの命をつなぐ保護活動のいま ①

 
山本 りつこ
      

「すべての動物たちに幸せな毎日を ~つなぎ手たちのメッセージ~」は、「動物たちが健やかに幸せに暮らしていける社会をつくる」ために、様々な分野で奮闘している方々の活動や思いを紹介するシリーズです。3回目となる今回は、人と動物の幸せな共生社会をめざす 「保護活動」 について、神奈川県横浜市の特定非営利活動法人アニマルハートレスキュー(以下、AHR)代表・山本りつこさんにお話を伺いました。

飼い主を失った犬や劣悪な環境で飼育されている動物たちの救出、さらには、地域で増え続ける野良猫のTNR活動など、恵まれない動物たちを一頭でも救うために力を尽くすAHR山本さんのお話を通して、保護活動の実際を知るとともに、私たちにできることを一緒に考えていきましょう。

※TNRとは、「Trap(捕獲する)」「Neuter(不妊去勢手術する)」「Return(元の場所に戻す)」の略語。野良猫に対する保護活動のひとつで、地域猫のTNR活動は猫の殺処分を減らすのに最も有効な手段と考えられています。
詳細はアニマルドネーションHPにて
https://www.animaldonation.org/environment/domestic/issue-of-animal-welfare/

かごの中にいる茶トラの兄弟猫

はじめに

保護活動について語る上で、まず知っておきたいのは日本の動物愛護の実情です。今この日本では、殺処分によって1日に65頭の動物たちの命が奪われているという悲しい現実があります。ただ、一方で、第2回 ハナ動物病院 太田快作先生のお話にもあるように、15年前には年間20万匹以上だった殺処分数は、年々減少傾向にあります。

その背景にあるのが、地元ボランティアや動物愛護団体の活動。人間の都合で犠牲になる動物たちを「何とか助けたい」という思いはあっても、収容スペースも人員も限られた動物愛護センターでは、処分をせざるを得ない実情があります。そこで、行き場のない犬や猫たちを引き取り、譲渡先を見つける役割を担っているのが、AHRのような動物保護団体やボランティアの存在なのです。

お話を伺った動物保護団体

プロフィール
特定非営利活動法人アニマルハートレスキュー代表 山本りつこさん
特定非営利活動法人アニマルハートレスキュー代表 山本りつこさん
会社員時代、同僚から殺処分寸前の子猫を引き取ったのをきっかけに動物保護に関心を持つようになる。1996年、横浜駅・関内駅周辺の猫のTNRから保護活動をスタート。横浜エリアのボランティアと連携し、野良猫の捕獲、避妊去勢手術、地域猫にする運動とともに里親探しを行う。1999年、手術や健康管理を行った猫たちの里親会を正式に開始。保護活動を続ける中で、動物保護には医療、獣医師の存在が欠かせないことを痛感し、医療施設(センター南動物病院)を軸にした動物保護シェルター、アニマルハートレスキューを設立。動物たちの心身のケアを十分に行い、新しい飼い主との出会いの場である譲渡会を運営開催。譲渡後も里親たちと定期的な報告会や治療相談を行うなどきめ細かなサポートで、里親からの信頼も厚い。
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救出、保護、治療ケア、しつけ、里親探し…
保護活動を支える、ボランティアの力

様々な現場からレスキューされてきた犬たち様々な現場からレスキューされてきた犬たち

AHRでは、年間100匹の犬・猫のレスキューを行っているそうですが、活動の内容について具体的に教えてください。

私たちは、動物愛護センター(保健所)からの要請や多頭飼育崩壊の連絡があれば、車にクレートを積み込み、現場に駆けつけます。保護した犬や猫たちは、まずはシャンプーで毛や皮膚の汚れを落とし、トリミングや爪の手入れなどを行い、清潔でキレイにしてあげます。それから、一頭ずつ、獣医師による診察・検査を行い、それぞれの動物たちに必要な治療を施します。一度に何十頭もレスキューした日は、全頭の診察を終えるまで1日がかりということもめずらしくありません。

シャンプーされる柴犬

レスキューした動物たちの診察・治療を自分たちの手で行えるのは、AHRが医療施設(センター南動物病院)を母体とした保護シェルターだからこそ、ですね。

そうですね。動物の保護活動には、狂犬病注射、ワクチン接種、避妊去勢手術、血液検査など、獣医師でなければできない医療行為がたくさんあり、それらはすべてAHRの獣医師たちが行っています。

ペットオーナーの方ならお分かりいただけると思いますが、予防接種や治療、手術など動物たちの医療費はそれなりにかかりますので、そうした費用は、保護犬や保護猫の「譲渡費用」として、彼らをもらい受ける里親さんに後々負担していただいています。

医療ケアのほか、保護動物の場合、特にしてあげなければならないことはありますか?

保護動物たちの多くは、人と楽しく過ごした経験が少ないため、譲渡会に向けて、人に慣れるトレーニングや心のケアを十分に行ってあげることが必要です。

例えばペットショップの犬なら、人を寄せつけず唸ったり吠えたりしても、人見知りや臆病な性格と受け入れてもらえますが、保護犬となると、しつけができていないと判断されたり、懐かないのでは?と心配されたりしてしまいますので。新しい飼い主さんを見つけるためには、なでたり触ったり、抱っこできるくらい人懐っこい犬になる練習をしなければなりません。

「人慣れ訓練」も山本さんたちが行うのですか?

実際に人に慣れる訓練を行うのは、「預かりさん」と呼ばれるケアファミリー(ボランティア)の方々です。飼い主が見つかるまでの一定期間、「預かりさん」 の自宅で家族として一緒に暮らすことで、室内で暮らす習慣や生活音に慣れ、人に大切にかわいがられる安心感やよろこびを知り、人への信頼感が育まれます。

動物たちの救出、治療ケア、日々の散歩や世話、人慣れトレーニング、譲渡会の開催など、保護活動は様々なボランティアの力によって支えられているんですね。

本当にそうですね。私自身、引き取り手のない子猫や野良猫たちのかわいそうな姿を「何とかして助けたい」と保護活動を始めました。同じようにボランティアの方々も、「一匹でも不幸な動物たちを幸せにしてあげたい」という思いひとつで、私たちの保護活動に協力してくださっています。

飼育経験者の方なら散歩やお世話、運転ができる方ならレスキュー犬猫の搬送、パソコンやSNSが得意な方なら譲渡会のチラシのデザインや情報発信など、ボランティアの仕事は様々なものがあります。実際に飼うことは難しくても、動物たちのためにできることはたくさんあるということを、ぜひ多くの方に知っていただきたいですね。

診察台の上に乗る秋田犬

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