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皮膚と耳から猫を救う。「飼い主さんの笑顔がやりがい」と語る、東京動物皮膚科センター・アジア獣医皮膚科専門医・大隅尊史先生

皮膚と耳から猫を救う。「飼い主さんの笑顔がやりがい」と語る、東京動物皮膚科センター・アジア獣医皮膚科専門医・大隅尊史先生

 
大隅 尊史
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院
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ファミリー動物病院院長の杉山大樹先生からバトンをつないでいただいたのは、東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院院長の大隅尊史先生です。アジア獣医皮膚科専門医として皮膚科・耳科の専門診療を行っています。獣医師を目指したきっかけや、専門診療を受診する流れについてうかがいました。

ファミリー動物病院 杉山大樹先生

プロフィール
大隅 尊史先生

大隅 尊史先生

東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院院長。アジア獣医皮膚科専門医。株式会社動物の専門外来代表取締役。日本大学を卒業後、東京大学付属動物医療センター内科系研修医、アジア獣医皮膚科専門医協会レジデントを経て2015年に皮膚科診療サービス(動物皮膚科コンサルタント)開設。2020年に東京動物耳科センター新宿VSTを、2023年に東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院を開院。

目次

愛猫の死を悲しむ父親を見て、獣医師の道へ進んだ

大隅 尊史先生

獣医師になるまでのご経歴をうかがいたいと思います。子どものころから動物は身近な存在でしたか?

私は島根県の生まれで、自然や生き物と触れ合いながら育ちました。友達と遊ぶときも野山で虫を取ったり、川で魚やザリガニを釣ったりすることが多かったですね。両親に家で動物を飼いたいと言い続けて、高校生のときに友人のところで生まれた猫のクロちゃんを迎えることができたんです。でも当時の私は野球ばっかりやっていて、一緒に遊んだり晩酌の相手にしたりと、本質的にかわいがっていたのは父親でした。

でも、高校3年生のときに、クロちゃんが車に轢かれてしまったんです。私が最初に発見しましたが、死んでいると思ったら怖くて、そのまま家に帰ってしまいました。正直に言えば逃げたんです。そんなときに父親がクロちゃんを抱いて連れ帰ってきてくれました。「まだ温かい」と泣きながら、「おまえにはこの気持ちはわからないと思うよ」と言われて。うちの子を迎えに行けなかったことを思い出すと、自分が情けなくて仕方ありません。

つらい出来事です。お父様とクロちゃんの強い結びつきを目の当たりにされたんですね。

父親のように動物のことで悲しんでいる人を救いたい。これが獣医師を目指す原点です。高校の卒業が迫っている時期に進路を変え、日本大学の獣医学科に進学。動物病院との接点はうちの子の避妊・去勢手術の付き添いで行ったくらいで、獣医療のことをまったくわかっていない状態からのスタートでした。

質問に答える大隅 尊史先生

皮膚科専門医への道を歩み始めたきっかけを教えてください。

皮膚科に関心を持ったのは、2年生のときに担任教員の紹介で動物病院へ実習に行ったときです。様々な症例を診る中で、記憶に残っているのが皮膚疾患で入院していたわんちゃん。1か月経っても治らないのを見て皮膚疾患の難しさを感じながらも、「どうすれば治せるのか」と深く考えるきっかけになりました。人の皮膚科も行列ができるくらい患者さんが多かったことを思い出し、動物の皮膚科も必要とされているのではないかと考え、4年生から皮膚科を担当している研究室に入りました。

卒業後は東京大学付属動物医療センターの内科系研修医や動物病院の勤務医として一般診療を経験する中で積極的に皮膚科を担当し、日本獣医師皮膚科学会認定医を取得しました。動物病院を開業する選択もありましたが、その前に世界の獣医療を見てみたくなったのを覚えています。皮膚科の権威の教授を頼ってウィスコンシン大学の研修に行く機会をいただいたのですが、医療の現場や企業とのミーティングなど何もかもが新鮮で、グローバルに活躍できる仕事に挑戦しようと決めました。帰国してからタイミングよくアジア獣医皮膚科専門医協会認定レジデント課程を始められたことも幸運でした。

皮膚科・耳科の最後の砦として専門診療にあたる

質問に答える大隅 尊史先生

皮膚科の専門診療を担う難しさや、治療のやりがいをうかがえますか。

皮膚疾患の診断や治療は、様々な要因を組み合わせて数学の方程式のようなロジックで考えます。症状を分解して考え、可能性が高い診断を下し、適切な治療を行う。犬種によっても明確な違いがあるのが皮膚病の特徴です。しかし、検査や数値だけでは診断できない難しさがあり、効果的な治療につながらないケースも少なくありません。

当院ではホームドクターからの紹介による専門診療を行っているので、「愛犬・愛猫の病気がなかなか治らない」と悩む飼い主さんが来院されますが、治療を始めてからはどんどん笑顔に変わっていくんです。困っている方が安心して帰っていく姿は、私たちにとってうれしく、大きなやりがいになっています。

質問に答える大隅 尊史先生

動物病院には人と異なり耳鼻科がないですが、耳は何科に区分されるのでしょうか。

獣医療では世界的に、耳の疾患は「皮膚科」が担当しています。これは、犬は犬種や基礎疾患などの様々な要因によって皮膚トラブルから外耳炎を併発しやすいという背景があるためです(一方で、猫はミミダニや中耳炎以外は案外耳トラブルが少ない傾向にあります)。また、鼻の疾患は「呼吸器科」が診るため、人と異なり「耳鼻科」というくくりにはなっていません。

そしてこれまでは、中耳炎や難治性の外耳炎など重症化したケースは「外科」が手術で対応するのが一般的でした。かつては外耳炎が悪化した場合、耳ごと切除するしか選択肢がないこともあったのです。

しかし近年、医療技術の進化により状況は大きく変わりました。私たちのように「ビデオオトスコープ(耳の内視鏡)」を用いることで、重症化した外耳炎や中耳炎であっても、必ずしも外科手術に頼らず、耳の奥の洗浄など体への負担が少ない(低侵襲な)内科的治療からスタートできる時代になったのです。

こうした技術の進化に伴い、皮膚科医として耳を多く診てきた私たちが、内視鏡を使って中耳まで専門的に治療するようになりました。そして、日本でも皮膚科の中の耳ではなく、独立した「耳科(オトロジー)」という概念が生まれつつあります。その筆頭として、当院は皮膚科・耳科の専門施設をつくり、多くの患者様に対応しながら、その経験を日本各地、そして世界の獣医師に届けるという使命を持って治療にあたっています。

耳の模型耳の模型

ビデオオトスコープとオペ室ビデオオトスコープとオペ室

動物の皮膚病を全部治すために、認定医を増やし人材を確保

質問に答える大隅 尊史先生

開業から2年が経過し、院長としての課題も見えてきたのではないでしょうか。

病院経営において人材確保が一番の課題だと思っています。これまで私が勤務してきた動物病院で、優秀な同僚が出産や育児で何人も退職するのを見てきました。経験豊富な人材がいなくなってしまったら診察の質にも影響しかねません。私はスタッフが長くいてくれることが病院の安定につながると考えています。

また、毎日残業して帰って寝るだけ、という生活では仕事を長く続けられませんよね。当院の開業にあたり、育児で退職していた愛玩動物看護師に復帰をお願いして加わってもらったため、もともと早めに帰れる勤務体制を前提にしています。そのため、診察は13時半ごろまでに集中して行い、そのあとは麻酔処置、16時以降は退院や会計の手続きのみが基本です。お子さんの体調不良などによる急な早退や欠勤にも柔軟に対応できるよう、余裕をもって多めにスタッフを雇用しています。人材は宝だと思っております。

大隅先生がこれから挑戦していきたいことを教えてください。

一つは、ホームドクターと専門診療の中間で診察する獣医師を増やしたい。皮膚科・耳科を受診する動物が増えている状況で、対応できるのが私一人では限界があるからです。出張で飛行機に乗るたびに、眼下に広がる街に住む皮膚病の動物を全部治すのは無理だと実感しております。私もアジア獣医皮膚科学会の専門医ですし、専門医制度はあります。まだ数人しかいませんが、日本獣医師皮膚科学会認定医は増えつつあります。したがって、全員が専門病院までこなくても、その手前で治せる獣医師を増やすことは大切だと思っています。特に、東京以外の地域では、専門病院に行きたくても行けない患者様も多いはずですので、その地域の中で皮膚や耳に強い病院を少しずつ増やしていくことが、地域医療への貢献だと思っています。そして、飼い主さんが安心して任せられる獣医師を増やし、受け皿を広げるのが目標です。

そして、日本の耳科は世界でもトップクラスの治療をしていると感じており、同じような治療が受けられる動物を世界にも増やしていきたいと思っております。現在、弊社で製作した耳科実習用の耳のモデルが海外でも多く用いられるようになり、海外から見学者が来られたり、講演や実習で呼ばれたらできるだけ行くようにしております。世界中の獣医師と力を合わせれば、より多くの皮膚病や耳の病気を治せる日が来るのではないかと思っています。

ビデオオトスコープ(耳の内視鏡)練習用の自作模型ビデオオトスコープ(耳の内視鏡)練習用の自作模型

相談できるホームドクターから専門診療につながる

質問に答える大隅 尊史先生

愛犬・愛猫がより良い医療を受けるために、飼い主さんに伝えたいことは?

獣医療が発展している状況で、飼い主さんが選べる選択肢が良くも悪くも広がっています。最先端の医療を受けられる場合と受けられない場合に分かれ、医療格差も広がっていることが獣医療のジレンマだと感じます。「うちの子のために手を尽くしたい」と思っても、距離や費用などの事情があってあきらめざるを得ない飼い主さんもいると思います。

ただ、まずは皮膚科や耳科をはじめ、様々な専門診療があることを知っていただきたいと思っています。少なくとも「より良い治療があることを知らなかった」という機会損失を招くことは良くないと感じます。

そして、そのためにも、自宅の近くに何でも相談できるホームドクターを持つこと。もしホームドクターが対応できない病気が見つかったら、その病気の治療が得意な病院や専門診療を紹介されるという流れが大切だと思っています。

今は飼い主さんが動物病院を使い分ける時代だと思っています。ただ、飼い主さんが症状を見て専門診療の必要性の有無を判断したり、SNSにあふれている情報を取捨選択したりするのは難しいと思います。かえって診断や治療が遠回りになりかねません。うちの子のために頼れるホームドクターを見つけておくことが安心につながると強く感じております。

東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院・大隅尊史先生のバトンの回答

質問をする杉山先生杉山先生

Q1.仕事に関係なくても買いたい高価なものは?

質問に答える大隅 尊史先生大隅先生

オーブンがついたシステムキッチンです。昔から、友人を招いて食事をしたり、レシピをみて新しい料理を作るのが好きだったので、家族や友人を手料理でもてなしたいですね。

質問をする杉山先生杉山先生

Q2.仕事に関係なくても始めたい趣味は?

質問に答える大隅 尊史先生大隅先生

もう一度、野球にチャレンジしたい気持ちがあります。高校のときには、変化球が曲がらなかったりゴロをうまくさばけなかったりして悩んだものです。今ならネット上で動画の練習方法が見つけられるので、あのときできなかったことが、「どうやったら上手くできるのかな?」と、検証しながら、またうまくなりたいなと妄想を抱いたりします。

質問をする杉山先生杉山先生

Q3.仕事に関係なくても取りたい資格は?

質問に答える大隅 尊史先生大隅先生

現実的なところでは調理師でしょうか。親戚が調理師をしていることもあり、子どものときから料理が好きなんです。皮膚科医らしく、味が調和するロジックや素材の最適解が出せる公式を考えたいと思っています。

自由が丘動物医療センター 朴先生へのバトン

Q1.朴塾って何ですか?
Q2.耳科のオトスコープと、腹腔鏡・胸腔鏡、何か共通点や相乗効果はあるとおもいますか?
Q3.ラパロ以外の趣味は?(同じものがあればまたこんど行きましょう)

東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院

東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院の外観

東京都 渋谷区
大隅 尊史
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院
0ハグポイント

東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院院長。アジア獣医皮膚科専門医。株式会社動物の専門外来代表取締役。日本大学を卒業後、東京大学付属動物医療センター内科系研修医、アジア獣医皮膚科専門医協会レジデントを経て2015年に皮膚科診療サービス(動物皮膚科コンサルタント)開設。2020年に東京動物耳科センター新宿VSTを、2023年に東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院を開院。

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