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「つなぎ手」たちのスペシャル対談。企業の影響力と個人の思いを生かし、人と動物が共生する幸せな未来へ

「つなぎ手」たちのスペシャル対談。企業の影響力と個人の思いを生かし、人と動物が共生する幸せな未来へ

 
西平 衣里
      

「すべての動物たちに幸せな毎日を ~つなぎ手たちのメッセージ~」は、保護犬・保護猫を取り巻く現状や、動物たちが幸せに暮らせる社会を目指して奮闘する方々の活動を紹介するシリーズです。
近年、犬猫の飼育頭数が減少傾向にある中で、私たち日本全薬工業株式会社は「動物と暮らす喜び」を一人でも多くの方に伝えたいと願っています。その想いから、動物と暮らしている人はもちろん、そうではない方々にも動物たちの魅力をより身近に感じていただけるような取り組みを進めております。
今回は、動物専門の寄付サイトを運営する公益社団法人アニマル・ドネーション(以下、アニドネ)代表理事・西平衣里さんと、実際に社内で動物福祉の啓発活動を行った人材会社勤務の門口拳太さんをお迎えし、動物福祉への「個人と企業の関わり方」について語っていただきました。

プロフィール

西平 衣里 さん

公益社団法人アニマル・ドネーション代表理事。2005年にトイ・プードルのトゥルー(TRU)を迎え、2010年にアニマル・ドネーション設立。株式会社リクルートで『ゼクシィ』のクリエイティブディレクターを務めた経験を生かし、動物専門寄付サイトやAWGs(アニマル ウェルフェア ゴールズ)を運営。日本の動物福祉を世界トップレベルにすることをミッションに、社会に向けた広報活動や認定団体への教育支援などを行っている。
公益社団法人アニマル・ドネーション
プロフィール

門口 拳太 さん

人材会社でコンサルティング事業のチーム長を務める。動物との出会いは、9歳のときに自ら引き取った愛猫のゴロ。「23年間、いつも家族の中心にいた」と振り返る。アニマル・ドネーションの「幸せになった保護犬猫たち パタパタパネル展」を社内に働きかけて展示を実現。動物福祉の現状を知り、あらゆる命が豊かに生きられる社会を目指して、企業と個人ができることを考えている。

目次

愛犬・愛猫が動物福祉に意識を向けるきっかけになった

対談の様子

西平さん

「動物愛護」と「動物福祉」は似ているようで意味が全く違います。「動物愛護」は日本独特の考え方で、人間が主体となって動物を愛して護るという意味です。イギリス発祥の「動物福祉」とは、人間が科学的エビデンスに基づいて、動物を精神的かつ肉体的に満たされた状態にすることです。

門口さん

学校の道徳の授業で「命を大切にしよう」と動物愛護を学びましたが、動物福祉について触れる機会さえなかったと思います。

西平さん

どちらも行き着くところは「命を大切にしよう」で合っています。イギリスでは1800年代に動物に関する法律が整備され始めた歴史がありますが、日本ではペット業界でさえ動物福祉の概念がようやく知られつつある段階ですね。

動物福祉について話す門口さん

門口さん

動物に関する法律と聞いて、日本で1600年代に制定された徳川綱吉公の「生類憐れみの令」を思い出しました。当時は動物福祉の最先端だったかもしれない日本が、時代の変遷とともに取り残されてしまっているんですね。

西平さん

日本の動物福祉を世界トップレベルにすることが私の人生のミッションです。もともと動物福祉に関わるきっかけは、トイ・プードルのトゥルー(TRU)を迎えたこと。2024年に19歳半で亡くなるまで大切な家族であり、アニマル・ドネーションの設立から支えてくれました。

門口さん

動物福祉のために活動している西平さんが、愛犬をきっかけに活動を始めたと聞いて親近感を覚えました。実は私も動物が好きになるきっかけは、愛猫のゴロなんです。9歳のときに近所の子が拾った子猫を親に内緒で引き取って、家族会議の末に迎えることができました。「動物を飼ったことがないのに世話をできるのか」と親に怒られましたが、いつの間にか親のほうがゴロをかわいがっていました(笑)。

西平さん

門口さんの勇気は素晴らしいですね。ご両親も動物の命を安易に考えないようにしっかりお話をされていて、命への責任を考えられる環境で育ったことが今につながっているのかもしれませんね。

門口さん

ゴロはもともと目やおなかが弱かったので、動物病院で処方された療法食をあげていました。食事に気をつけていたおかげで、23歳の長寿をまっとうしてくれました。

西平さん

家庭動物の食事は私たちが選んで与えるしかないので、健康管理がしっかりできていた証拠ですよね。門口さんは動物福祉がしっかりできています(笑)。欧米では動物福祉の基盤となる「5つの自由」が法律にまで盛り込まれているんですよ。①飢え、渇きからの自由、②不快からの自由、③痛み、負傷、病気からの自由、④本来の行動がとれる自由、⑤恐怖、抑圧からの自由です。日本では④本来の行動がとれる自由が不十分だと感じますね。

門口さん

動物本来の行動がとれるようにする、ということでしょうか。もしかしたらゴロは獲物を追いかけて狩りをしたり、近所を歩きまわったりしたかったのかもしれませんが、そこまでペットの自由を担保するのは難しいと思うのですが、どうすればいいでしょうか?

質問に答える西平さん

西平さん

猫なら高いところに登ったり狭いところに隠れたりできるキャットタワーを用意すれば、自由を満たせると思いますよ。人間社会の中で生きる動物の欲求を100%かなえるのは難しい。人間と暮らす彼らに、できることとできないことを理解してもらうためにコミュニケーションをとることも動物福祉の一環だと思います。

門口さん

確かにゴロとは家族の一員としてコミュニケーションはとれていたと思います。室内飼育でしたが、家中を我が物顔で闊歩していましたから(笑)。ごはんがほしいときには父のほうへ、遊ぶときには私のほうへとうまく使い分けて、人間のように意思の疎通ができる猫でした。自然と動物福祉をベースにした暮らし方ができていたとしたらうれしいですね。

<参考ページ>
AWGs(アニマル ウェルフェア ゴールズ)世界はこんなに違う 動物の法律

企業の影響力と個人の思いを動物福祉の啓発に生かす

対談の様子

門口さん

私が勤めている人材会社の事業は、すべての人が豊かな人生を歩めるように支援することです。社内には社会問題に対して感度が高い人が多いんです。福祉の基本は人間も動物も同じだからこそ、あらゆる命が豊かに生きるために、企業ができることを社会課題として提起したいと思っています。

西平さん

アニドネはチャリティー活動に熱心な外資系企業からセミナーを依頼されることが多かったんですが、最近では日本の企業からも声をかけられる機会も増えました。動物の飼育経験がない方にも、動物福祉の問題が知られるようになってきたのではないでしょうか。門口さんが担当されているコンサル先でも動物福祉の話題を出していただければ、会話のきっかけになるかもしれませんよね。

門口さん

今回の対談で動物福祉について学ぶ機会を得たので、賛同していただけそうな方を中心に啓発も兼ねて話題にしたいと思いました。動物の問題の中で「殺処分ゼロ」は知られていると思いますが、西平さんはどのようにお考えでしょうか?

笑顔の西平さん

西平さん

私は「殺処分ゼロ」は、動物福祉が発展するための経過の一つにすぎないと思っています。動物の問題は飼育放棄や動物虐待などたくさんあって、殺処分をなくすだけでは解決できません。保護犬猫のビフォー・アフターを紹介する「幸せになった保護犬猫たち パタパタパネル展」も、リアルを知っていただくために始めた取り組みの一つ。門口さんがお勤めの会社で展示が実現してありがたいと思っています。

門口さん

私は動物の問題を知れば知るほど、保護犬猫を幸せにすることが人間の責務ではないかと思うようになりました。ゼノアックさんからパネル展のことを聞き、一緒に働く仲間にもぜひ知ってほしくて展示をお願いしたんです。企業が取り組むことで、動物福祉の啓発が進むのではないかと思いました。

西平さん

人材会社での展示は初めての試みなんです。興味を持ってくださる方はいらっしゃいましたか?

門口さん

全社にパネル展の掲示を知らせるメールを送ったところ、多くの社員から反響がありました。ビフォー・アフターのパネルや添えられたメッセージを読んだ同僚とは、「保護活動だけでなく、動物福祉にも目を向けなければ」と意見を交換する機会もできたほど。一緒に働く仲間のことをもっと知るきっかけにもなりました。

西平さん

保護犬猫の現状を通して、動物福祉にも関心をもっていただけたらうれしいですね。

質問に答える門口さん

門口さん

ただ、予想外の意見もあったんです。私はゴロとの楽しい思い出のおかげで動物に対してポジティブな印象しかなく、動物の社会問題を扱うパネル展に反対する人がいるわけがないと思い込んでいました。実際には動物が苦手で目をそらす人や、殺処分という強いワードにショックを受ける人もいたんです。企業が協力することで広く啓発することはできますが、個人が受け入れられる範囲には留意しないといけませんよね。

西平さん

そうなんです。幸せになれなかった動物の現状を知っていただきたいけれど、目をそらされてしまったら啓発する目的が達成できないし、いつもバランスに迷っています。ただ、動物が苦手な人に話を聞くと、犬に噛まれたり猫に引っかかれたりというような原体験があるんですよね。動物にも私たちと同じように感情があることを伝えて、理由を考えてみることをおすすめしてはどうでしょうか?

門口さん

動物の問題を真っ向から受け止めるのは難しい人でも、このままでいいとは思っていないはず。個人間で気持ちを押し付けるのではなく、歩み寄ってわかり合えるのが理想ですよね。西平さんの言うとおり、ちょっとした会話から始めたいと思いました。

▼実際に展示されたパネル一例

対談の様子

対談の様子

上記以外の保護犬猫たちの実例はこちら
※一部保護当時の厳しい状態が写っている写真が含まれます。閲覧の際はご注意ください。

動物福祉を「他人事」から「自分事」に変え、次のアクションへ

対談の様子

西平さん

企業や大学に依頼されたセミナーで、犬猫と一緒に暮らすことで人間が幸せになれることをお話しするとびっくりされるんです。寿命が延びる、心拍数が落ち着く、幸せホルモンが分泌される……犬猫が人間にもたらしてくれる幸せを知れば、動物を見る目が変わると思います。

門口さん

動物の存在の大きさといえば、私にとってゴロは、家族の一体感のようなものを醸成してくれたんですよ。いつも話題の中心にいて、亡くなった今でも写真を見ながら親や弟と話すことがあるくらいです。

西平さん

動物と育った子どもはノンバーバル・コミュニケーション(言葉を使わないコミュニケーション)に長けるんですよ。私の息子もトゥルーの無言の圧力をよく察していました(笑)。最期まで精一杯生きる姿も見せてくれて、トゥルーのおかげで息子にも動物福祉の考えが自然と根付いたと思います。きっと門口さんもゴロくんが教えてくれたことがあると思いますよ。

門口さん

ノンバーバル・コミュニケーションが上達するというのはわかる気がします。私は弟に対してやんちゃに接していましたが、ゴロに同じことをするとそっぽを向かれてしまう。でも、私が悲しいときには、気づくとそばにいてくれました。相手の感情の読み取り方や距離感のとり方は、ゴロに教えてもらったのかもしれません(笑)。

西平さん

犬は感情をストレートに表すタイプが多いけれど、猫はツンデレなところがかわいいですよね(笑)。またいつか動物と暮らしたいと思いますか?

対談の様子

門口さん

両親が保護猫を迎えようかと言っていたこともありますが、高齢者がペットを飼えなくなって手放してしまうという社会問題を知り、懸念して迷っているところです。

西平さん

門口さんにお知らせしたいのが、高齢犬猫を高齢者が引き取る「シニアフォーシニア」という取り組みです。門口さんのご両親のように年齢を理由に飼育をあきらめている方と、譲渡先が見つかりづらい高齢の犬や猫を結ぶマッチングの仕組みを作ろうと思っています。高齢化社会の日本に合っていると思うんです。アニドネでは、「シニアフォーシニア」が優しい気持ちを持つ日本人らしい動物福祉の一環になるよう現在スキーム設計をしているところです。

門口さん

私の両親のように、飼いたいけど飼えないと言う高齢者は多いんですね。ゴロが使っていたグッズを捨てられなくて家にたくさんあるので、保護猫を迎えたらそのまま使えそうです。

対談の様子

西平さん

保護団体が運営する保護猫カフェは譲渡の場なので、猫に負担をかけないように営業時間を短くしています。そういったところから、足を運んでいただくのもいいかもしれません。

門口さん

ありがとうございます。両親にも「シニアフォーシニア」を伝えたいと思います。今回の西平さんとの対談のおかげで、日本の動物福祉の現状を知ることができ、大きな気づきを得ました。やはり動物に人生を豊かにしてもらった分、動物に還元したいなという思いです。

西平さん

アニドネには、ボランティアを希望する企業の問い合わせが増えています。門口さんのように興味を持った社員の方が動いた結果、広まっているのではないでしょうか。読者の皆さんにも行動から変わることを知ってほしいですね。

門口さん

今回のパネル展や対談は私が個人的に引き受けましたが、それでも会社の中に動物福祉という一石を投じられたと思います。私を含めて同僚たちも、動物の問題が他人事から自分事へと変わりつつあります。一人ひとりが次のアクションにつなげていきたいですね。

対談の様子

「動物の幸せとは何か」 「私たちにできることは何か」
ぜひここから一緒に考え、動物たちが幸せになれる未来をつくっていきましょう。 皆さんの第一歩を、この「すべての動物たちに幸せな毎日を ~つなぎ手たちのメッセージ~」シリーズが後押しできれば幸いです。

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