猫をテクノロジーで見守る首輪型デバイス「Catlog」とは?

猫をテクノロジーで見守る首輪型デバイス「Catlog」とは?

  • 伊豫 愉芸子
  • 小川 篤志
      

猫を愛する飼い主であればあるほど、日々の悩みは「離れている時」に発生するのかもしれません。「今何しているんだろう」とペットの姿に思いめぐらせ、妄想の世界に浸ってしまう方、旅行で、やむなくお留守番させている時に「どうしているんだろう」と気が気でない、などという方もいるのかもしれません。

Catlog」は、そんな気がかりやお悩みを解決するデバイス。猫の行動を首輪型デバイスでデータ収集し、スマホで可視化された行動ログを見ることができます。また、収集されたデータは猫の健康管理とともに予防医療にも役立てることも。そんなCatlogを手掛けるRABO.incでは、猫のことを”猫様”と呼ぶほど猫への愛が溢れています。

今回は代表・伊豫愉芸子さんと小川篤志さんにCatlogの開発背景や今後の展望についてお話を伺いました。

プロフィール

伊豫 愉芸子さん

東京海洋大学大学院博士前期課程修了。東京大学大気海洋研究所で、動物の行動生態を調査するバイオロギング研究に従事。大学院修了後、株式会社リクルートに新卒入社し、インターネットサービス企画やプロダクト設計、新規事業開発担当ののちに、株式会社RABOを創業。猫様と20年以上一緒におり、ショートヘアソマリのブリ丸とベンガルのおでんと暮らしている。一般社団法人日本ペット技能検定協会認定キャットケアスペシャリスト/キャットシッター資格所有
プロフィール

小川 篤志さん

獣医師。救急医療のキャリアを経て、「目の前の動物の命でなく、広く動物を助けたい」との思いで、2013年に保険会社へ入社。経営企画部長として多数の子会社設立・新規事業創出等に携わり、VC・海外子会社の代表取締役に就任し、多くの企業との関わりや企画への造詣が深い。ビジネスを語る時にも、獣医師の熱い視点を垣間見せる。2020年よりRABOに参画。

猫愛がぎっしり! 猫特化型のウエアラブルデバイス

——はじめにCatlogがどのようなものなのか、教えていただけますか?

小川さん

Catlogは、猫様に特化した首輪型のウエアラブルデバイスです。その首輪型デバイスに入っているセンサーを通じて、今、猫様が何をしているか、ということがわかります。

デバイスが取得した行動データを、Catlog Homeという中継機器がBluetoothで収集します。そして、インターネットを通じて飼い主のスマホの中に入ったアプリで表示され、猫様の状況を見守ることができます。注文して一式が届けば、アプリをダウンロードしてすぐ始められます。

Catlog(左)とCatlog Home(右)

Catlogアプリの画面

——”Cat”logという名前の通り、猫「専用」なのですね。その「専用」たる理由には、どのようなことがあるのでしょうか?

小川さん

データを収集するにあたり、猫様に特化している動きを検知することが重要となります。これまでの商品は、犬用を猫「にも」使うものばかりでした。しかし、猫様は、犬とは全く違います。しなやかで、高いところにもピョーンとジャンプする、そんな猫特有の動きをデータで最適化するには、犬用を猫用に転化したものではなく、猫に特化して開発をする方が理にかなっていますよね。それに、飼い主さんとしても「猫様専用」という方が、愛着を持てるようにも思います。

——確かに、猫の飼い主さんの心もくすぐってくれます。猫専用である意味は、他にもありますか。

小川さん

猫様につけてもらうには、猫様にも愛されないと意味がない。Catlogの重さは十円玉2個分、かつ静音検査もクリアした設計なので、音が全くならない仕様。首輪の素材も猫の皮膚への優しさにこだわって作っていることも特徴です。

また、もう1つ重要なのが、セーフティバックルです。猫様の平均体重4キロくらいの力をかけると、外れるようになっています。首が何かに引っかかってしまった時のことも考えて設計しています。

——Catlogには、どんな誕生経緯があったのですか?

伊豫さん

もう20年以上、猫様と一緒に暮らしています。猫様は私にとって家族同然で、大事な存在です。毎日、留守の時は何をしているか気になります。また、ずっと一緒にいたい、長生きして欲しいと考えた時に、わかっていないことが多いことに気づきました。見えない時間も多く、いつ病院に連れて行っていいか、どれくらいのご飯を食べさせるのがいいのか、そもそも他の子と比べて、うちの子はどんな状態かもわかりませんでした。

私はもともと、コウテイペンギンとかマッコウクジラにセンサーをつけて、どういう風に回遊していくかを把握する、というバイオロギングを研究していました。そのバイオロギングのことを、思い出しました。見えない時間を見えるようにするバイオロギングと猫様を掛け合わせてみてはどうか、と。また、リクルートで新規事業の立ち上げやプロダクト開発を手掛けた経験も生かせると考えたのが始まりでした。

飼い主に届く最後の一瞬までこだわり抜く

——ローンチは2019年9月24日ですが、発売以来、購入された飼い主さんからはどんな反応がありますか?

小川さん

「楽しくて仕事が手に付かない」「オフィスにいてずーっとアプリ画面を見ちゃうんですけど」など、“クレーム”が届いています(笑)。発売直後から、購入された方が、アプリ画面をスクショでTwitterに投稿してくれました。すると、投稿を見た人が「何それ!?」となりご購入されて投稿する、そのループで、さらに拡散されています。

——拡散力がかなり高い商品だと伺っています。あらかじめ拡散を狙った取り組みなどをしていたのでしょうか?

小川さん

いえ、狙っているわけではありません(笑)。ですが、例えば、最近Twitterでバズった投稿には、「お問合せの時のやり取りに感激した!」というようなものもありました。ちなみに、弊社RABOではCSをカスタマーサポート(CS)ではなく、キャットスペシャリストと呼んでいます。

——Twitterでは、サポートの素晴らしさだけでなく、梱包の画像などでも頻繁に目にしますね。

小川さん

デザインをとても大切にしている会社です。ラスト1マイルまで、徹底的にこだわって届けることを重視しているのですが、例えば配送はクロネコヤマトのCatlog専用の箱、それを開けるとまるで婚約指輪のパッケージのように入っている、とか。新品の箱を開ける時のわくわくって結構大事ですよね。そういう体験にもこだわっています。あと、箱のサイズも「ちゃんと」猫が入りたくなる大きさです。

こういったクリエイティブは重要で、猫様が身に付けるものであるかぎり、おしゃれであるべきです。どれだけ機能が優れていても、見た目が悪ければ満足できません。つまり、見ていて楽しいことも大切です。色を選べるようペンダント部分が4色、ベルトは素材のバリエーションも含めた豊富なラインナップです。人間だって、毎日同じ服は着たくない。だから、1度買って終わりではなく、お着替えするおしゃれの観点も考慮しています。

Chief Cat Officer・ブリ丸が着用しているベルトは、2021年1月13日から販売開始されたシルク×コットン素材のもの

ベルトのラインナップ

新しい予防医療の手段となって猫を救うCatlogの役割

——小川さんは獣医師資格をお持ちで、ペット専門の保険会社で経営企画にも携わっていたと伺っています。

小川さん

もともと勤務していたのは救急病院がメインで、TRVA夜間救急動物医療センターでは、副院長もしていました。そこは重症化した動物が飼い主とともに来院します。もっと早く治療ができていれば、というジレンマも多く経験しました。そこから「さらに広く動物を助けたい」という想いからペット保険会社に転職をし、ペットに関する事業開発や他の大企業と連携するプロジェクトにも携わってきました。その中には、ペット向けのデバイス開発といった企画もいくつかありましたね。しかし、やはり「散歩の距離を測る」「今何歩歩いたか」など、どちらかというと楽しみの部分にフォーカスされているばかりで、やや行き詰まりを感じていました。

——そんな小川さんのもとに、Catlogと伊豫さんが現れたのですね。

小川さん

ですね。結構、衝撃的でした。

伊豫さん

2019年の国際的な獣医師学会にCatlogのブースを出店したのですが、そこに主催者側として参加していた小川さんと会いました。獣医師の知見を持っている方が弊社には必要で、かつ経営企画やファイナンスなどビジネス関連も熟知している方で「これ以上の方はいない」とお声をかけました。

小川さん

最初に見た時、Catlogは、いわば「猫の体調のホンヤクコンニャク」だなと思ったんですよね。人の目には見えない変化を、検知することができるというところに、強い可能性を感じました。「なんだか元気がない」という症状こそ、獣医療では重要であるにもかかわらず、その元気を計る指標や気づくためのソリューションはこれまでにありません。現在では、Catlogに加え、Catlog Boardを2020年10月にリリースしていますが、これにより、行動だけでなく体重や排泄からも体調を推測できるようになっていきます。

Catlog Board

1500万円以上の応援金額を達成したクラウドファンディングサイトMakuakeのページ

——Catlog Boardは、首輪のCatlogとは何が違うのですか?

小川さん

Catlog boardは、猫様のトイレの下に敷くことで、現在お使いのトイレをそのままヘルスケアデバイスにします。重量を検知できるので、日々の体重や尿量や頻度が検知できます。特に猫様にとっては、泌尿器疾患は非常に重要な疾患で、それらに関わる数値を検知できるのです。

ただでさえ、日頃のペットの状況を把握しつづけるのは難しいことです。その上、猫様は、症状を隠しやすく、飼い主さんが気づくのは、尚更難しいということになります。猫様だからこそ、Catlogのようにデータを検知できる仕組みが必要です。「早く気づく」ということはとても重要で、予防医学では3段階の予防があるのですが、ワクチンに当たる一次予防と、重症化を防ぐ二次予防、そして再発予防という三次予防があります。Catlogでは二次予防の役割を担うというわけですね。

Catlogシリーズにより取得できる生体情報

Catlogによる、2次予防の促進

小川さん

症状や兆候も検知できるようになることを考えています。例えば、「痙攣を起こしています」とか「咳が続いています」というアラートなどですね。医療機器ではないので、どこまでを伝えられるかの問題はありますが、一言で言えばCatlogがホームドクターになれれば良いなと思うのです。病院に行くのは、猫様にもストレスですが、行くべき時にしっかり通院してもらえるようサポートするのが役目ですね。

伊豫さん

Catlogで普段の猫様の状態を共有することで、かかりつけ獣医と飼い主をつなぐ存在にもなれたら良い、と思っています。

アプリの活用例

あなたの猫とともに進化を続けていくCatlog

——最後に、伊豫さんと小川さんが描く、CatlogのこれからとRABOの今後の展望をお聞かせください。

伊豫さん

猫様に尋常じゃない愛を持っている私たちRABOの役割は「世界中の猫様と飼い主が、1秒でも長く一緒にいられるように 猫様の生活をテクノロジーで見守る」ことです。Catlogは、世の中にまだないカテゴリーを誕生させました。よりたくさんの飼い主さんにご利用いただけるような活動を続け、獣医師さんとも連携していくなどさらに進んだ展開をしていきます。

小川さん

Catlogは、今でも日々アップデートが続いています。昨日まで表示されなかったものも、今日には見られるようになる、それほど進化の速度は非常に速いです。それはこのRABOならではの企業風土で、良いものをすぐ取り入れ、そのためにどうするかを活発に議論できているからだと言えます。猫様の成長を見守るように、Catlogも成長を続けていきますので、ぜひとも成長を、楽しんでご一緒できればと思っております。

RABO.incのオフィス

株式会社RABO

「世界中の猫と飼い主が、 1秒でも長く一緒にいられるように 猫の生活をテクノロジーで見守る」を会社の使命とする、猫を愛する専門家の集団。「大切な存在を大切に想い、 そして大切にできる世界」を目指し、日々猫様とその飼い主さんが一秒でも長くいられる世界の実現を目指している。2018年8月22日の猫の日に、代表伊豫愉芸子さんが、Catlogを世に送り出すために立ち上げた。創業当初は1、2人の社員からスタートし、伊豫代表の声かけのもと、各所から猫好きの人材が集結した。Catlogを通じて動物病院と提携し、今もデータ解析を続けるだけでなく、アニコムとの共同研究も行うなど、さらなる開発に精力的。今ではインターンも含めて14名が所属する。

 
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