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アメリカンショートヘア│歴史・かかりやすい病気・生活で気を付けたい点【専門家監修】

アメリカンショートヘア│歴史・かかりやすい病気・生活で気を付けたい点【専門家監修】

 
服部 幸
      

「アメショー」の愛称でも知られるアメリカンショートヘアは、日本でも安定した人気を誇る猫。おだやかで知的な気質を持ち、また好奇心旺盛で人懐こい一面があり、猫を飼うのが初めての人でも比較的飼育しやすいでしょう。ただし、かかりやすい病気やお世話で気を付ける点もあります。ここではアメリカンショートヘアの歴史やかかりやすい病気、お世話の注意点などを紹介します。

目次

アメリカンショートヘアの歴史

椅子の上でリラックスするアメリカンショートヘア

1620年、ピューリタンとともにメイフラワー号に乗ってアメリカ大陸へ渡った猫達が、アメリカンショートヘアのルーツです。船に侵入したネズミをつかまえるハンターとして重宝されました。

イングランドで暮らしていたその猫たちは、ブリティッシュショートヘアと共通の祖先を持つと考えられています。次第に美しさにも目が向けられるようになり、1896年には初めてキャットショーに登場。1966年からはアメリカンショートヘアと呼ばれるようになりました。

アメリカンショートヘアのかかりやすい病気

病院で診察を受けるアメリカンショートヘア

アメリカンショートヘアは、特に注意したい病気があります。代表的な病気や特徴を知り、日常のケアに活かすことが大切です。

肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)

猫で最も多く認められる心臓の病気で、左心室心筋の肥大が特徴です。5~7歳での発症が多く、雄での発症が多いです。ヒトと同様に、遺伝性の関与が指摘されています。多くの場合、無症状です。

  • ●診断

    聴診、X線検査、心電図検査、心エコー図検査などにより診断します。
  • ●治療

    病態によって4つのステージに分類され、それぞれのステージに合わせた内科治療を行います。

下部気道炎症性疾患(かぶきどうえんしょうせいしっかん)

下部気道炎症性疾患は、猫喘息(ねこぜんそく)、慢性気管支炎(まんせいきかんしえん)、細気管支炎(さいきかんしえん)の総称です。
約1~5%の猫が罹患しているとされ、猫で多く認められる呼吸器疾患です。性差はなく、発症する平均年齢は4~5歳です。

  • ●診断

    臨床症状と身体検査、胸部X線検査、場合によってはCT検査や気管支鏡検査、気管支肺胞洗浄を行います。
  • ●治療

    生涯を通じて間欠的もしくは継続的なステロイド薬の吸入や内服投与を行い、病態の程度によって気管支拡張薬を併用します。適切な治療を行えば予後は良好なことが多いです。一部の症例では肺気腫や気管拡張症、気管支肺炎、肺線維症に進行することがあります。

気管支肺炎(きかんしはいえん)

気管支肺炎は、下気道炎症性疾患が進行して二次的に細菌感染が生じて発生することが多い病気です。

  • ●診断

    臨床症状、身体検査、X線検査によって診断します。
  • ●治療

    抗菌薬の投与、噴霧吸入療法、および背景にある下気道炎症性疾患の治療として、ステロイド薬や気管支拡張薬の投与も行うこともあります。その他に栄養補給や輸液による脱水の改善、酸素療法などの補助的な治療が必要になることもあります。

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)

最終的に、両側の腎臓に複数の嚢胞ができる遺伝性疾患です。腎嚢胞は年齢とともに数が増え、嚢胞内には尿とは異なる液体が貯留して徐々に大きさを増していきます。正常な腎組織を圧迫するため、最終的には腎機能不全に陥ります。

  • ●診断

    遺伝子検査や超音波検査によって診断します。
  • ●治療

    遺伝性疾患のため根治は望めず、投薬治療で腎不全をコントロールします。

肺腫瘍(はいしゅよう)

猫の肺腫瘍は腺がんが最も多く、その他の種類のがんも少数ながら報告されています。アメリカンショートヘアは下部気道炎症性疾患を好発しやすい品種でもあり、慢性炎症の進行に伴う腫瘍の発生も考えられます。

  • ●診断

    臨床症状、胸部X線検査などにより診断します。
  • ●治療

    予後は非常に悪く、外科手術を行っても生存期間の中央値は64~156日とされています。多くの場合は診断時や手術時など早期に転移を認め、外科手術適応外となり、化学療法の効果もほとんど報告されていません。

アメリカンショートヘアとの生活で気を付ける点

じゃれあう二匹のアメリカンショートヘア

アメリカンショートヘアとの生活では次のようなポイントに注意が必要です。運動のさせ方や毛のお手入れなど、アメリカンショートヘアの特徴に合わせたお世話をすることで、猫も快適に過ごせるでしょう。

十分に体を動かせる環境を整える

好奇心旺盛で遊ぶことが大好きなので、十分に体を動かせるスペースを取ることが大切です。また太りやすい傾向があるため、体重管理の観点からも、十分な運動時間を確保することが重要です。一緒に遊ぶ時間をたくさん作りましょう。

1日1回のブラッシングを行う

被毛は厚いものの短毛なので、ブラッシングは比較的簡単に行えます。美しい被毛を保ち、またコミュニケーションの時間を作るためにも、1日1回のブラッシングを欠かさないことが大切です。

アメリカンショートヘアを飼うのに向いている人

ベッドの上に寝そべる子どもとアメリカンショートヘア

アメリカンショートヘアは適応力が高く、子どもから高齢者まで、また一人暮らしでも大家族でもなじみやすい猫です。初心者にも飼いやすい品種といえます。一緒に遊んであげる時間を取れると理想的です。

アメリカンショートヘアを家族に迎えたい人へのメッセージ

子どもと遊ぶアメリカンショートヘア

アメリカンショートヘアは活発で陽気、愛情深さを持った猫です。家族に迎え入れたなら、きっと仲良くなって楽しい時間を過ごせるでしょう。比較的飼育しやすい品種ですが、かかりやすい病気の予防や早期発見・治療には常に注意を向けることが大切です。

監修者プロフィール

服部 幸 先生

東京猫医療センター(東京都江東区)院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。 北里大獣医学部卒。 猫ちゃんと飼い主様がともに幸せになることを目標に、病気の治療だけでなく日頃のケア、飼い方のアドバイスなど、 幅広く猫ちゃんと飼い主様のよりよい関係作りの活動を行っている。
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