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スコティッシュフォールド│歴史・かかりやすい病気・生活で気を付けたい点【獣医師監修】

スコティッシュフォールド│歴史・かかりやすい病気・生活で気を付けたい点【獣医師監修】

 
服部 幸
      

フクロウのような愛嬌ある顔立ちや折れ耳など、多くの独特な魅力で高い人気を博しているスコティッシュフォールド。飼育する際はその特徴をしっかり理解した上で、丁寧なケアを行う必要があります。そんなスコティッシュフォールドの歴史やかかりやすい病気、飼育する際の注意点などを見ていきます。

目次

スコティッシュフォールドの歴史

元気な様子で座るスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドは、1961年にスコットランドの農場で偶然生まれた折れ耳の猫が始まりです。その猫の子どもも折れ耳だったことからこの特徴は遺伝だとわかり、さまざまな品種と交配の結果、現在のスコティッシュフォールドの原型につながりました。

ただし、スコティッシュフォールドの折れ曲がった耳は骨軟骨異形成です。この状態を品種の標準としては認められないとする考え方もあり、血統猫登録団体の対応はさまざまです。

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気

診察台の上に寝そべるスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドは、主に次のような病気にかかりやすい猫です。気になる症状があれば早めに動物病院を受診し、症状が重くなる前に対応することが大切です。

骨軟骨異形成症

軟骨が正常に形成されず、関節に傷みが生じ正常な運動能力が損なわれる病気で、スコティッシュフォールドに特異的な遺伝性疾患です。重症度は異なるものの、折れ耳の猫は必ず発生します。

国内においてスコティッシュフォールドとマンチカン、スコティッシュフォールドとアメリカンカールの混血猫でも同様の病気が報告されています。

■診断

品種、臨床症状、X線検査から総合して臨床診断します

■治療

遺伝性疾患のため根治は望めず、放射線療法のほかに、鎮痛薬、サプリメントなど対症療法がメインです

肥大性心筋症

猫で最も多く認められる心臓病です。比較的若年齢での発症が多く、また雄での発症が多め。人と同様に遺伝性の関与が指摘され、明確な遺伝子が確認されているものはラグドールとメインクーンです。

肥大性心筋症による命にかかわるイベントには、うっ血性心不全、動脈血栓塞栓症、突然死が挙げられます。一般的に動脈血栓塞栓症が起こった場合の予後は良くありません。

■診断

臨床症状、X線検査、心エコー図検査、心電図検査、血液検査から総合して臨床診断します。動脈血栓塞栓症は後肢に起こりやすい傾向です

■治療

根治療法はなく、投薬およびストレス管理がメインです。症状が出るまでに診断ができた場合、予後は比較的良好なことが多いでしょう

多発性嚢胞腎(のうほうじん)

腎臓に複数の嚢胞が形成される遺伝性疾患です。この嚢胞は年齢とともに大きくなったり数が増えたりして、正常な腎臓組織を圧迫します。最終的には腎機能不全に陥る病気です。

■診断

主に超音波検査を行います

■治療

遺伝性疾患のため根治は望めず、投薬でのコントロールもできません。基本的に残された腎臓の機能を保護するための治療や対症療法が主体です

尿石症

結石の成分や発生場所によって病態はさまざまです。

■診断

尿検査、超音波検査、X線検査などを行います

■治療

シュウ酸カルシウム結石は食事や投薬で溶解しないため、膀胱結石や尿道結石では外科手術による摘出が必要です

遺伝性網膜変性

猫ではまれな病気で、視覚が衰えて最終的には失明に至ります。暗い場所で物が見えにくくなる夜盲の症状から認められ、一般的に両目ともに生じるのが特徴です。

■診断

眼底検査、網膜電図検査を行います

■治療

有効な治療法はありません

肺腫瘍

猫の肺腫瘍は腺がんが最も多く、その他のがん(上皮系腫瘍)も少ないながら報告されています。国内ではスコティッシュフォールド、ペルシャ、アメリカンショートヘアでの好発が認められます。犬の肺腫瘍とは病態、診断、予後において異なる点が多いです。

■診断

臨床症状やX線検査などを行います

■治療

予後は非常に悪く、多くの場合は早期に転移を認め外科手術ができません

スコティッシュフォールドとの生活で気を付ける点

スコティッシュフォールドをブラッシングする男性

ここからは、スコティッシュフォールドと生活する中で特に気を付けたいポイントを紹介します。品種がもつ特徴に気を配りながら、快適に安全に過ごせる空間・習慣をつくりましょう。

無理なく動ける環境を整える

もともとスコティッシュフォールドはそれほど活発に運動する品種ではありませんが、折れ耳がある場合は特に生活環境の整備に注意しましょう。

折れ耳が出ているなら骨軟骨異形成であり、疼痛により運動制限が生じることも。無理なく行動できるような生活環境づくりをし、快適に過ごせるようにします。具体的には高さのある物はできる限り少なくする、足腰や関節への負担を減らすためやわらかい床材を選ぶなどです。

ブラッシングは毎日行う

スコティッシュフォールドはブラッシングを毎日行い、丁寧に毛のお手入れをすることも大切。頻度はロングヘア―(長毛種)なら1日2回、ショートヘアー(短毛種)なら1日1回が目安です。

耳のチェック&お手入れは週に1回以上行う

折れ耳のスコティッシュフォールドは、耳の構造上こまめなお手入れが欠かせません。外耳道の軟骨が形成不全状態で、汚れが溜まりやすいためです。最低でも週に1度は耳の状態チェックと、状態に合わせたお手入れをしましょう。

スコティッシュフォールドを飼うのに向いている人

スコティッシュフォールドの耳のケアを行う女性

スコティッシュフォールドは、特に耳折れのある場合において生活上気を付けなければならない部分が多々あります。こまめなお世話や生活環境の整備を面倒だと思わず丁寧にできる人、またそのための時間をしっかり確保できる人であれば飼育に向いていると考えられます。

スコティッシュフォールドの特徴を知り家族の一員に迎え入れよう

    

ゆったりくつろぐスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドは、品種に発生しやすい病気に注意を払いながらケアを行うことが飼育のポイントです。穏やかで甘えん坊な性格でもあり、お世話をしていく中できっとかけがえのない家族になってくれることでしょう。品種の特徴を押さえて、お迎えの検討や準備を進めてください。<スコティッシュフォールドは、品種に発生しやすい病気に注意を払いながらケアを行うことが飼育のポイントです。穏やかで甘えん坊な性格でもあり、お世話をしていく中できっとかけがえのない家族になってくれることでしょう。品種の特徴を押さえて、お迎えの検討や準備を進めてください。

監修者プロフィール

服部 幸 先生

東京猫医療センター(東京都江東区)院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。 北里大獣医学部卒。 猫ちゃんと飼い主様がともに幸せになることを目標に、病気の治療だけでなく日頃のケア、飼い方のアドバイスなど、 幅広く猫ちゃんと飼い主様のよりよい関係作りの活動を行っている。
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