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スコティッシュフォールドの特徴とは?性格や飼い方、かかりやすい病気を解説【獣医師監修】

スコティッシュフォールドの特徴とは?性格や飼い方、かかりやすい病気を解説【獣医師監修】

 
服部 幸
      

特徴のある折れ耳と、まん丸の見た目が可愛らしいスコティッシュフォールド。穏やかでおとなしい性格で、子どもや他の猫とも仲良くできます。しかし遺伝性の疾患が起きやすくストレスにも弱いため、飼い方には注意が必要です。スコティッシュフォールドの性格や飼い方、かかりやすい病気を紹介します。

目次

スコティッシュフォールドの歴史

スコティッシュフォールドの子猫3匹

スコティッシュフォールドの起源は、1961年にスコットランドの農家で誕生した1匹の猫です。スージーと名付けられたその猫は耳だけが他の猫とは異なり、ぺたんと前に倒れていました。その後スージーが産んだ子猫の中に、同じような耳を持つ子猫がいたことから、本格的な育種が始まります。

その後アメリカで研究が行われ、アメリカンショートヘアやエキゾチックショートヘアなどとの交配により、品種改良が続けられて1977年にCFA(血統猫登録団体)で認定。スコティッシュフォールドは、「スコットランドの~」スコティッシュ、「折りたたまれた耳」のフォールドという意味から名付けられました。

スコティッシュフォールドの体の特徴

ブルーのスコティッシュフォールド

スコットランドにルーツを持つスコティッシュフォールドは、穏やかで甘えん坊な猫です。愛らしい見た目から、飼い猫としても人気があります。まずは、スコティッシュフォールドの歴史や特徴、性格を見ていきましょう。

【体格】全体的に丸みがある

スコティッシュフォールドは、全体的に丸みのある体格が特徴です。頭はどの角度から見ても丸く、目も大きくてまん丸とした形、マズル(口周り)もふっくらとしており、四肢の先にも丸みがあります。体重は約1年でメス3∼5kg、オス3∼6kgで、大きなオスは体長は60cmほどに成長します。

【耳】生後3~4週間から折れ始める

折りたたまれた耳は、優性遺伝によって受け継がれたもので、折れ曲がり具合にはさまざまな種類があります。垂れ耳が特徴のスコティッシュフォールドの中には、耳が折れずに立ち耳の「スコティッシュストレート」という猫も。スコティッシュフォールドの耳は、生まれたときは立っていて、生後3∼4週間後から折れ始めます。

【被毛】長毛種と短毛種がある

スコティッシュフォールドには、長毛種と短毛種の2種類がいます。長毛種はハイランドフォールドやスコティッシュフォールドロングヘアーと呼ばれていて、ゴージャスな印象を与えます。ただし長毛種は生まれてくる確率が低く、珍しい品種です。一方、短毛種は毛並みがやわらかく、触り心地が良いのが特徴です。

【毛色・模様】バリエーションが豊富

スコティッシュフォールドは、毛色や模様のバリエーションが豊富です。主な毛色にはレッド、ホワイト、シルバー、ブルー、ブラックがあります。また主な模様は、しま模様やトラ柄、ブチなどの「タビー」、まだら模様の「トーティ」、3色がミックスされた「キャリコ」があります。

スコティッシュフォールドの性格

ハチワレ模様のスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドは、甘えん坊で人懐っこい性格です。穏やかでおとなしく、家族が大好き。

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気

診察される様子のスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドには、かかりやすい病気もいくつかあります。少しでも長生きしてもらうために、病気の種類や症状を理解しておきましょう。

かかりやすい病気①骨軟骨異形成症

骨軟骨異形成症とは、手首や足の関節などの骨や軟骨に骨瘤(こつりゅう)を発症し、圧迫されることで痛みが発生する病気です。原因は遺伝によるもので、スコティッシュフォールドの特徴である垂れ耳は、軟骨の異常によって起こっています。この病気は圧迫されて痛みが発生するため、歩き方に異変が出やすいのが特徴です。

またスコティッシュフォールド特有の「スコ座り」という、手足を投げ出した座り方がSNSなどでも可愛いと話題になりますが、これは関節の可動域が狭さや、また骨軟骨異形成症の痛みを和らげるためとも言われています。鎮痛薬による痛みの緩和や放射線療法などの治療法がありますが、完治は見込めません。

かかりやすい病気②尿管結石

尿管結石は尿管に結石ができて、おしっこの流れが滞ってしまう病気です。猫全般に起きやすいですが、特にスコティッシュフォールドはなりやすい品種と言えます。

症状は食欲不振や嘔吐、血尿、おしっこの量の減少です。腎臓は2つあるので、どちらかが尿管結石になったとしても気付かれにくい病気でもあります。尿管結石は主に手術治療によって除去します。

かかりやすい病気③多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎は、遺伝性の疾患で腎臓内に嚢胞(のうほう)ができ、腎機能が徐々に低下していく病気です。腎臓のサイズが拡大するため、腹部の触診で確認できたり、腹部が膨らんで見えたりすることもあります。

症状は慢性腎臓病と似ていて、食欲低下や脱水、嘔吐、飲水量の増加などが挙げられます。多発性嚢胞腎は、根本的な治療法はありません。ただし症状を和らげたりする治療が行われ、猫の負担を減らすことができます。

猫の腎臓病について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
Vet’s Advice! 猫の腎臓病【基本編】

【飼い方】スコティッシュフォールドが暮らしやすい環境づくりのポイント

カーペットの上でくつろぐスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドを迎えるにあたって、過ごしやすい環境を整えることが大切です。ストレスやケガのリスクを減らす工夫を紹介します。

騒音に気を付けて、ストレスがかかりにくい環境を整える

全ての猫に言えることですが音に敏感なため、掃除をするときは別の部屋に移動させたり、子どもとは別室を用意したりするなど、ストレスになりやすい環境から遠ざけましょう。

段差を少なくし、床にカーペットを敷いて負担を減らす

スコティッシュフォールド特有の「スコ座り」は、他の品種よりも骨や関節がやわらかいことによるものです。そのため、普段過ごす場所の段差を少なくしたり、床にカーペットを敷いたりして負担を減らし、ケガをしにくい環境を整えてあげましょう。

【飼い方】スコティッシュフォールドのお世話で気を付けるポイント
 

医師の診察を受けるスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドを飼う上で、気を付けるべき点がいくつかあります。環境や日ごろのケア方法を理解し、スコティッシュフォールドを迎えしましょう。

日ごろから耳や毛、歯のケアをする

耳が折れているスコティッシュフォールドは、耳の中が蒸れやすく、外耳炎のような耳のトラブルが起きやすくなります。そのため、汚れがたまらないように掃除をしなくてはいけません。耳掃除は週1∼数回程度、専用ローション使って、耳介(一番外側のいわゆる猫耳形の部分)の表面をやさしくふき取るようにケアをしましょう。

また毛並みがやわらかく毛が抜けやすいので、毎日やさしくブラッシングをします。換毛期にはシャンプーをし、歯磨きや毛玉対策は毎日行ってください。

穏やかで飼いやすいスコティッシュフォールドは魅力がいっぱい

階段に座るスコティッシュフォールド

折れた耳が特徴のスコティッシュフォールドは、人懐っこく甘えん坊で飼いやすい猫です。しかし遺伝性の疾患やかかりやすい病気があるため、過ごしやすい環境を整え、ケアを徹底しなくてはいけません。スコティッシュフォールドをお家に迎える際は、特徴や病気を理解し、1日でも長く楽しい時間を過ごせるよう健康管理を行いましょう。

監修者プロフィール
服部幸先生

服部 幸 先生

東京猫医療センター(東京都江東区)院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。 北里大獣医学部卒。 猫ちゃんと飼い主様がともに幸せになることを目標に、病気の治療だけでなく日頃のケア、飼い方のアドバイスなど、 幅広く猫ちゃんと飼い主様のよりよい関係作りの活動を行っている。
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